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Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.26 )
日時: 2016/01/16 19:15
名前: 逢逶 (ID: C6aJsCIT)

episode7
title 救い

会いたいけど…

やっぱりだめ。


そう思ってがたん、と立ち上がった時、




「あ!先輩こんばんは!」




彼らが到着した。


「私、これで失礼しますね」

「えー、飲みましょうよ。ほら、先輩も来たし」


中々返してくれない後輩くん。
焦ってしまってどうすることもできない。


「…え、織さん?」

あたふたしているうちに気づかれてしまった。
私は諦めて座り直す。
後輩くん達はにこにこで。
成瀬さんと有明さんの顔なんて見れたもんじゃない。

気まずい…。

有明さんが私の隣、成瀬さんが隣の隣に座る。



「よく会いますね」

有明さんがふふ、と笑う。

「そうですね」

私もつられて顔がほころぶ。

「誠さんは今日はお仕事ですか?」

「いえ、」

「ここら辺にはよく来るんですか?」

「いえ、」



「…何かありましたか?」


いえ、と答えればいいのだけれど弱った心がそうさせない。
有明さんが心配そうに顔を覗き込む。
成瀬さんはお酒を喉に流し込むように飲んでいる。

どうしようもなくなった、丁度その時携帯が震えた。


誠…?
携帯を見るとそれは知らない番号。

だけどさっき見た番号。



…タカだ。

「出ないんですか?」


そう言ったのは成瀬さん。
横目で私を見ながらまたお酒を飲む。

「すいません、失礼します」


立ち上がって外に出る。

タカとは終わらせる。
そう決意し、電話に出た。


「もしもし」

『織…、好きなんだ』

「私が妊娠してるってわかった時なんて言った?」

『…ごめん。でも好きだ』

「私結婚してるし」

はぁ、とため息をつく。

『でも、うまくいってないだろ?』


…なんで、知ってるの?


『今日、家の前にいたんだ。織が出て行くのが見えた。…今はアイドルと遊んでるんだろ?』



いや!

私は電話を切った。





怖い。
監視されている。

力が抜けてその場にしゃがみこむ。
助けて。
助けて。




助けて…!


「織さん!」



成瀬さんが私の方へ駆けてきた。



どうしてあなたは私が辛い時にいつでもいるの…?

もう…




…好きになっても良いですか?


私をさらってください。





私はぼろぼろ涙をこぼしながら成瀬さんに抱きついた。