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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.5 )
- 日時: 2015/12/22 11:47
- 名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)
episode4
title 星々
私が返事する暇もなく、成瀬さんに抱きしめられた。
「泣かないでください…」
私ははっとして、突き放した。
「ごめんなさい…」
「織さん…」
「…産まなきゃ」
「何をですか…?」
「ごめんなさい…」
私は涙を拭って会場に向かった。
飲み会では、人気グループが歌を披露していた。
「どこ行っていたんだ?」
「お義父様から電話があって…」
「…そうか」
きっと誠は話している内容はわかっている。
踏み込んで来ないのは、私に対して愛情がないから。
私が戻ってから少しして成瀬海は戻ってきた。
一瞬目があって私の方から逸らした。
私は舞岡誠の妻。
飲み会で失礼がいないよう十分注意した。
「では、二次会へ向かいましょう」
四時を過ぎた頃、誠が言った。
全員立ち上がり、会場を後にした。
向かうのは同じホテルの最上階のパーティー会場。
バーのような創りである。
「これからは好きに飲んでください」
誠の声に、一斉にバーカウンターに足を運ぶ人たち。
私、凄いところにいるなぁ。
私は誠から離れて、展望デッキに向かった。
今日は夜風が涼しくて気持ちいい。
夜景を眺めていると足音が聞こえて、ふり返った。
「どうも」
そこには人気バンドKISSTILLの山田蒼とStreamの影山秀、そして成瀬さんがいた。
「こんばんは」
私は平静を装って返事した。
「お酒は飲まないんですか?」
「はい。旦那から止められているので」
「そうですか。いい旦那様ですね」
「…はい」
表面上いいえとは言えない。
必死で気持ちを押し殺す。
夜空を見上げると無数に星が散らばっていてその綺麗さに、余計に涙がこぼれそうだった。
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