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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 初恋にばいばい。 ( No.6 )
- 日時: 2015/12/08 22:39
- 名前: 春風。 ◆g7QHS.3K0k (ID: OrCsXVwf)
(*).Chapter 1 —恋というもの—
桜の花弁が、真新しい制服に1枚また1枚と、ひらひら舞い散る。肩に落ちてきた花弁を優しく人差し指と親指で掴むと、指先から風によりふわりと飛んでいった。
今日から「星ヶ丘(Hoshigaoka)高校」に通う1年生となる私の名は、長谷川 優葉という。
名前に〝優〟なんて文字が入っているけれど、皆さん騙されないで。実の私はかなりの毒舌少女です。
星ヶ丘高校の門を潜ると、同じ制服に身を包んだ人達でごった返していた。気分が悪くなりそうな程に人がいた為、私は仕方なくクラス表を見るのを諦め後ろへと下がっていった。
人の波が引くまで知り合いを探そうと、私は昇降口の辺りをぐるぐる見渡す。と、見覚えのある茶髪のポニーテールが目に入った。
私はそのポニーテールの彼女の顔が見える位置に、移動する。丁度横顔が見えたとき、彼女が誰なのか漸く分かった。
「あ・か・り!」
手を口に添えて、名を呼んだ。
彼女は、蓮迎 あかりという。
あかりは私の声に気付き、此方を向くと整った顔をくしゃっと可愛らしい笑顔に変えて、私に手を振ってきた。行動ひとつひとつが、可愛い。
「おはよ、ゆう! クラス表見た?」
「おはよ。まだ見てないよ、あの人混みの中行ったら死ぬこと確定」
「あはは、だよねえ」
中学の頃と変わらない、本当に何時も通りの会話を交わした。
それから私とあかりは、人の波が引くのを、今年も同じクラスでありますようにと願いながらふたりで待っていた。
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