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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: もう一度、青空を。 ( No.10 )
- 日時: 2016/01/27 20:28
- 名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
- 参照: 届くことなく。
「おはよう、夜空!」
にっこり。
あんなことがあった翌日、ホシは笑顔だった。
その瞳は、とても充実しきったような明るい光を湛えている。
____いいこと、あったんだろうか。
彼の話では、彼女には好きな人がいる、と聞いていたが……。
叶っているといいな、なんてね。
「あ、あぁ、おはよホシ……どうだった?」
昨日の、とだけ言って。
こんなこと聞くのは失礼かもしれないけれど、友達だから。隠し事は嫌だなぁ、なんて思ったり。
「……振られちゃった、呆気なかったよ」
あはは、と小さく舌を出す。
彼は悲しそうな素振りなんて全然見せなくて、ずっと笑っていた。
「あ、なんで泣かないんだって思ったでしょ?
昨日散々泣いたからさ、もう平気なんだ」
バカみたいな情けない振られ方、と彼は言った。
「でも、後悔はしてないんだ。
伝えられただけ、良かったって思ってる」
そんなカッコいい台詞を吐く彼は、情けなくなんかなくて。
寧ろ、憧れる位。輝いて見える位、かっこよかった。
僕も、いつかはソラに……なんて。
そんな夢みたいな想像をして、小さく笑った。
僕には無理、そんなこと知っている。彼女に伝える勇気が無いことも、伝えても届かないということも。
僕は、彼女の友達でいい。
仲の良い幼馴染み、のレッテルのままでいい。
この気持ちは、届くことなく消えていくだけ。
それを待つだけ。
悲しい気持ちを抑えつけて、「そっか。よく頑張ったじゃん」とだけ言って、笑うのだった。
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