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Re: もう一度、青空を。 ( No.13 )
日時: 2016/02/01 19:10
名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
参照: 恋する乙女。

そして、今。


彼は相変わらず優しくて、あったかくて。
よぞら___というより、真昼の青空のようで。



真昼青空……そんな雰囲気の、人。



「……えへへ」



……ひと?

あの人は……見たことがある。


淡い香りをさせている、長い黒髪。
可憐に響く優し気な声。
思いやりの出来そうな可愛らしい微笑み。



暮見先輩だ。

夜空先輩の大好きな人。私がいつも羨ましいと思っていた人。



彼女は如何にも幸せそうに笑っていて、その笑顔はまるで恋する乙女。

いや、本当に『恋する乙女』なのだろう。



「……こんにちは」



私は、いつもの無表情を作ると、彼女に話し掛けた。


今日は一人なのだろうか、彼女は昨日、誕生日に何をあげたのだろうか。



「! ……あ、あぁ……ユウちゃん。こんにちは」


彼女は驚いたように私を見ると、またいつもの笑みを見せる。


「……どうされたのです、こんなところで。
 夜空先輩でもお待ちですか?」


挑発するように言ってしまうのは、私の悪い癖。
だからこそ友達もいない、こんな女になってしまったのだな……と思う。


それでも関係ないのだけれど。



「ううん、今から帰るところ」



優し気な声をあげると、彼女はくるりと回って見せる。
風でスカートが煽情的にふわりと膨らみ、引き締まった細い脚が見えた。


「……そうですか。今、お暇ですか?」



敢えて『大人しい後輩』『害のない後輩』を繕う。


「暇だよ、どうかしたの?」




小さく深呼吸をする。
優しい声に、少し安心させられるような気がした。







「……一緒に、お茶しましょう? お話があります」