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Re: もう一度、青空を。 ( No.15 )
日時: 2016/02/04 20:19
名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
参照: 何で貴方は。

「……な、なんでそんなこと」
「知ってるんですよ、私。……貴方の気持ち」


何でよ、そんなことも聞けないような冷めきった目線。
それは、私の赤い頬を、一瞬で冷めさせるようなものだった。


「……なんのこと?」


私は精一杯の声を出して、彼女に問う。
彼女は心底面白そうに、少しだけ目を細めた。

その目が何だか、私を鑑定しているような___彼女の言葉を借りれば、ソラくんに似合うかどうか___見極められているようだ。
……むず痒い。


「先輩のこと、好きでしょう?」


ぞっとした。
彼女はやっぱりストーカーで、だからこそ私の気持ちもばれているのかもしれない。


「……好きって言ったら、どうなるの?」


彼女は、私に手を出してくるだろうか。精一杯、私の恋を邪魔するだろうか。


「……どうもしません。ライバルになるだけ」



にこりともしない、無愛想な顔。
そんな顔で言ってのけて、ユウちゃんはコーヒーを口へ運ぶ。



「私は先輩が好き、貴方よりずっと。
 ……何で貴方は、先輩を」



荒々しく置かれたカップから、ぴしゃりと飛沫がはねる。
それは何だか高ぶったユウちゃんの感情のようだな、なんて思った。


「何で貴方は……先輩に好かれているの?」


苦し気に、呻くように。

辛そうに言った彼女は、テーブルに握った拳を叩きつけた。
ソラくんが、私を好きになる?


「……そんなことあり得ない、だって私は」
「なんで。……なんで私は、彼に愛されないんですか」


ずっと見てきたのは、私なのに。


私の恋は全部貴方に盗まれてしまう。



そんな恨みの籠った瞳が、揺らぐことなく見つめてきた。

……今、ここで逃げるわけにはならない。



彼女と、ちゃんと話をしよう。



私は、彼女をしっかりと見つめ返した。