コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: もう一度、青空を。 ( No.6 )
- 日時: 2016/01/23 20:16
- 名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
- 参照: 綺麗な瞳。
「……これ……なんだろ……?」
お誕生日おめでとう、と言っていたから、誕生日のプレゼント……であることは間違いない。
そう気づくとなんだかむず痒い気分になってきて、そそくさと帰路を歩く。
外で開けるのも何なので、家についてからのお楽しみ、ということにする。
「ふへへ……初めて、かな」
意外と照れ屋な彼女は、僕にプレゼントをくれたことはなかった。
俺はちゃんと揚げ玉ちゃんクッションをあげたりしているし、一応印象には残ってるだろう、と思う。
彼女が至る所で揚げ玉ちゃんグッズを見つける度、ついつい買ってあげてしまうのだ。
認めたくはないけど好きって特権、なんて思うけれど、多分原因は『彼女の瞳』。
あの憧れるような瞳を、僕が満たしてあげたいなんて思ってしまう。
「本当に、好きなんだな」
ふと、後ろから声が聞こえた。
この登場の仕方は何回目だか忘れるくらいだったので、大して驚かずに後ろを振り返る。
そこには見慣れた、淡い月のような少女が立っていた。
触れたら溶けてしまいそうな、揺れる笑顔。
「コロ……ちゃん」
虹色に輝く、ホンモノの虹みたいな飴を咥えて。
ふふ、と意味ありげに笑った彼女は、くるりと一回転をした。
その風でスカートがふわりと膨らんだので、慌てて横を向く。
黒いタイツを履いているし、女子のあれが見えることはないだろうけれど、男としてのマナーだろう。
彼女は月代コロナ。
英語は勿論ペラペラのハーフ、他教科も95点以下は取ったことがないとか、なんとか。
そんな感じの天才だった彼女は、進学クラスへと進んでいた。
運動も出来て、顔もいい。そんな眉目秀麗、容姿端麗、文武両道な彼女が、こんな僕に何故絡んでいるのか、というと_____
僕も、分からないのであった。
勿論仲良くしてくれているし、いつも僕のことを気にかけてくれる。
そんなコロちゃんは、今日も絡んできたらしい。
「あはは、顔がニヤけてるぞ? まぁ彼女、可愛いもんな」
そんな下心たっぷりな男はいけ好かないよ、と冗談のように笑う。
だからこそソラちゃんは、とまた冗談めいた笑みで、顔を近づけてくる。
「キミみたいな男、中々いないもんな。
……ソラソラ同士で、相性もいい」
「相性か……そんなによくはない、と思うけど」
誕生日プレゼントなんてもらっちゃって、と。
依然にやにやとした笑みを浮かべている彼女は、暇そうに飴を噛み砕いた。
「勿論私からプレゼントなんて渡さないよ?
期待したかい?」
彼女は砕いた飴をぱらぱらと遊んでから、恨めしそうに言った。
その声が、何だかとても意地悪く聞こえたのは、気のせいだろう。
「期待したよ、くれないのかー」
僕はそれだけ言って、また笑った。
「あは、いいねぇ青春ってのは。まるで少女漫画だな」
私とは全然違う。
そう微かに聞こえて、コロちゃんを見る。
コロちゃんはやっぱり、いつもと変わらない笑みを浮かべていた。