コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: もう一度、青空を。 ( No.8 )
- 日時: 2016/01/24 22:54
- 名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
- 参照: 伝えても。
俺はもともと、好きなんて感情、持ったことがなかった。
女の子は皆近付いてきたけれど、その態度は皆、作り笑いに見えて。
モテるためだけの笑顔なんて気持ち悪い、って思ってたんだ。
でも、その女の子と出会って。
その笑顔がホンモノだって、分かった。
嘘偽りのない笑顔は、俺の心を溶かしていくように甘かった。
でも、その子には好きな人がいるし、両片思いらしい。
伝えたくても伝えられないのが、つらい。
ホシの送ってきた内容は、とても悲しくなるような恋の文面で。
僕は苦しくなって、ベンチにもたれかかる。
恋なんてしなければよかった、と。
そう思うことは、誰だってある。
でも、ホシは…………哀しいだけの恋をしてる。
『ホシはどうしたいの?』
その気持ちを確かめる為に、僕は文面を送る。
だって、彼が恋を実らせたいのか、諦めたいのか、わからないから。
わかるのは自分自身で、僕にはホシの気持ちの端っこもわからない。
だから、その気持ちを知ろう。
『諦めたい。
この気持ちはもう、伝えても届かないから』
伝えても、届かない____。
その言葉を、小さく口にしてみる。
その響きは重くて、夜の闇に押しつぶされるような感覚をおぼえた。
ホシの話を聞いたら、早く帰ろう。
歩きスマホは絶対にしない主義の僕はそう決めて、また画面を見る。
『だったらさ、告っちゃえばいいんだよ』
『ねちょねちょ引き摺るのはつらいよ。
それなら、告って振られて、諦めたほうがカッコいい』
これはただの僕の考え。
ホシがこれにどう思うかはわからないし、これでいいのかどうかもわからない。
けれど、大事な友達の為ならば、僕は自分の意見はしっかり伝えたい。
『……そうだね、俺、勇気が足りなかったみたい』
彼はそんな文を送ってきた。
『告白、してくるね。ありがとう』
画面の向こうで、ホシが笑っているような気がした。
嗚呼、神様。
どうか、彼の恋を……叶えてあげてください。
僕は月を見上げて、小さく祈った。