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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君に恋する5秒前 ( No.4 )
- 日時: 2015/12/13 17:27
- 名前: めばえ (ID: DdpclYlw)
*★*☆*★第一話☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*
「りょうすけー!ナイスシュートっ!!」
放課後のグラウンドで山口監督の図太い声が響き渡る。
春の生暖かい風が気持ち悪い。
でも、なぜだかほっとするような、期待だとか、ワクワクだとか
そんな雰囲気を帯びている春風は別に嫌いじゃない。
「りょうすけー、ハイ、お茶。」
「ああ、サンキュ。」
部活専用のボトルを受け取る。
冷たい麦茶を飲むと、火照ったからだが潤うような感じがした。
マネージャーの石橋かおるは、僕のご近所さんであり、幼馴染である。
『お前、石橋とデキてるんじゃないの?』
こんなことをサッカー部の奴らから言われるのはしょっちゅうで
その度に『ははは、なわけねー』と言ってかわしてきた。
かおるは、『デキてる』と言われると顔を赤く染め、『なわけない』と否定すると困ったように笑う。
そんなわかりやすい態度取られたら、気づいてしまう。
ちょっと素直すぎじゃないか?
僕はそこまで鈍感じゃないぞ。バカ。
でも、気づいたからといっても特に進展するわけでもなかった。
僕はかおるのことを女の子だとはわかっていたけれど、だからと言って
『好き』という感情があるわけではなかった。
かおる自身も思いを伝えようとは思っていないだろうし。
他にも告白されたことはある。
でも僕は、『好き』という感情が分からない。
女の子をかわいいとは思ったことはあっても、
恋にあこがれて誰かを好きになろうとしても、恋だと感じたことはなかった。
だから四月は変に期待して、春はなんとなくそういう出会いを探してる。
僕の四月に春が来たことはないけれど。
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