コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君への執着 ( No.4 )
- 日時: 2016/01/02 13:28
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)
【一番きれいな桜には(BL表現少し入るかもです)】
僕は長谷伊織。今年で高校生の仲間入りを果たしました。
玄関を出て、入学式に向かう途中、家の前にある桜の木を見る。
今年も満開だ、ピンクの花が綺麗に咲いているけどきっと一か月後には風に吹かれて散っていることだろう。
—— なんて儚くてきれいな花なんだろう。
と毎年そんなことを思いながらこの花が一番似合う僕の憧れの人を思い浮かべる。
彼は重い病にかかって昨年、この世を去ってしまった。いつも僕を温かく迎えてくれた彼の家はもう売られてしまったとか。
人間はいつか死が訪れる、いつか天界に帰らなければならないと言われているが、あんなにもたった十八歳でこの世を去らなくても良かったんじゃないか。もっと僕を温かく見守っていてほしかった。
叶わないそんな願望は空気のように青空に消えていく。
(切り上げます)
- Re: 君への執着 ( No.5 )
- 日時: 2016/01/07 10:57
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)
そんな彼を見つめていた人が一人、少し離れた歩道で彼に見惚れていた。
「なんて美しい人なのだろう」
そう声に出してしまうほど彼は桜を見上げ、悲しそうに涙を一粒こぼしていた。その涙は光に反射して氷のようにきれいで白き肌に映える。
美しい彼は、茶髪で黒い瞳、身長想定165㎝と普通な少し小柄な体型でおとなしそうな一般の高校生だと思う。そんな彼に一目ぼれをしてしまった。
「……」
彼は数分、その桜を見つめてどこかへ行ってしまった。
きっとあの制服は桜木高校の制服だから入学式にでも行ってしまったのだろう。運よく俺も今日、あの高校の生徒に正式になるから、いつか彼とまた会えるかもしれない。
彼が見つめていた桜に駆け寄り、彼の目線から何が見えていたのかを追いかけるように見つめる。
やはりそこには桜の花しか見えない、ただ木々の間から澄んだ青空が見えるだけだ。
何を見ていたのだろうか、花かそれとも青空か。
どちらにせよ、景色しか見えない。きっと彼は考え事をしていたのだ。
この桜を見て何かを考えていたのだ。
—— 知りたい、知りたい。
そう思いながら桜を見つめていた。
そんな彼を誰かが少し離れたところから見つめている人がいた。
「風斗君……」
私は彼が好きだ。いつも優しくてかっこよくて運動も勉強もおろそかにしない彼が中学の時から好きだった。
あの中学の入学式のときもあんな風に桜を見ていた。
(切り上げです)