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Re: ハオのウィザード【明賀 鈴に改名しました】 ( No.14 )
日時: 2016/06/14 17:55
名前: 明賀 鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: YgiI/uLg)

 七時四十分を告げるチャイムが鳴る頃、約十五分の道のりを経て諸見里は校門前にたどり着いていた。
 中庭の向こう側にそびえ立つように立っている校舎を見上げながら、諸見里は胸の前でぎゅっと拳を握りしめ、心に誓った。

「新しい出会いを、必ずこの手でゲットしてみせる! 待っててね美香さん!」

 星占いの担当ニュースキャスターの名前を噛み締めるように呟くと、彼は再び「新しい……出会い……」妄想の世界へトリップし始めた。

「どんな子なんだろうか……いやそもそも新しい出会いというだけあって女子学生だとも限らないんじゃ……いやいや、何を言っているんだ自分。弱気になるな自分。美香さんを信じろ、美香さんは正しい。でも……女子生徒が……ぎゃんっ」

 諸見里は校門前でひっくり返っていた。そんな彼を物珍しそうに登校中の生徒たちが眺める。諸見里は制服についたほこりを払い、落としてしまった眼鏡をかけ直すと、すっくと立ち上がった。

「何なんだ、いったい……!」

 そこまでだった。
 彼の目の前に、赤みを帯びたショートボブの少女が立っていた。胸ポケットには諸見里の見ている制服と同じものが刺繍されている。それで彼女がこの学校の生徒なのだと、諸見里は瞬時に理解した。
 しかし、彼女は学生鞄とともに、おそらく少女の肩までありそうな長い棒状のものを布に包んで所持していた。剣道部か何かかな、と、諸見里はその時はそう思った。
 とにかく、その女子生徒はくるんと大きな黒い瞳を瞬かせ、諸見里をじっと見つめた。

「ごめん。ぶつかっちゃった……大丈夫? かな」

 愛らしい唇から、鈴の音のような声が漏れ出る。
 瞬間、諸見里の脳内で今朝の星占いの結果がぐるぐると駆け巡っていた。

 新しい出会いが……新しい出会いが……新しい出会いがあるでしょうっ!

「美香さん! 君の言葉は正しかった!!」

 諸見里は朝のテンションのまま叫ぶと、身を乗り出すようにして少女に言った。

「あのだね、君。よかったら名前を聞かせて……」
「あっ! もうこんな時間だよお。羽織行かなくちゃ。校長も待ってるし。じゃ!」

 可愛くピースサインをすると、少女はそのまま校舎の方へと駆けて行ってしまった。
 一人取り残された諸見里は、しばらくその背中を追っていたが、すぐにその後を追うのだった。