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「Chocolate cake(チョコレートケーキ)」〝かみゆ〟

今日は午後から出て、夜に帰る日。
一番長くTarantellaでも働いて居るけれど……一番家から離れてるのよね。

「御免ね、遅れましたー」
そう言って裏から入ると……

「あ、かみゆさん。またにこちゃんに殴られました」
とあゆしたくんが泣きながらやって来た。

にこちゃんは絶対に理由なしに人を殴ったりしないから、この泣いて居る──のかさえ分からない顔のあゆしたくんが悪いんだろうな。


着替えてからお店の方へ回ると、甘いけど少し苦いような……チョコレートの香りがした。

「あっ、かみゆちゃん!!」
さっちんが走って来た。

何と無く言いたい事が分かるような気がした。

「凄く混んできて大変でー、それと今日はチョコレートケーキが良く売れる日!!」

いつもより長い列が出来て居てさっちんとあゆしたくんでは回らなそう──というか回って居ないらしい。

「私も頑張るわね!?」
半分自分に言い聞かせるようにして、御客さんの注文を取り始める。

確かに今日はチョコレートケーキが売れている。


他の御店よりもほろ苦めのうちのチョコレートケーキは大人の人で買う人が多い中、沢山売れるという事は大人の御客さんが多いという事だろうか。
並んでいる人の顔を見ると確かに多い気がする。

私もTarantellaに来る前は甘いチョコレートケーキしか考えられなかったけど、直ぐに有りだなって気付いたし……──

沢山に好きになって貰えたら嬉しいなぁって。


──More taste……──

【続く】

byてるてる522

〝みなかわ〟

「もうホントに、にこちゃん酷いよね。みなかわくんもそう思うだろ?」
思って無いのについついペースにつられて頷いてしまう自分が情けない。

上手く気持ちを伝えられない俺には、お調子者でズバズバ言うタイプがいつも近くに居たような気がする。
たまにこういうタイプに助けて貰って居た気も……──

「──まぁな。」
適当に流すといつも鋭い反応であゆしたは……

「もしかして思って無かったりするのー?」
と聞いてくる。
こういう時だけ得意の鋭さを発揮するのは止めて欲しいと思う。

同じ学校では無いけれど同い年。
微妙に俺の方が早く此処でバイトし始めたけど同じ位。

まぁ大雑把に考えれば共通点が多い俺等は、何となくの付き合いで一緒に居る事が多い。

そう感じているのは俺だけじゃ無いみたいで……
「俺等っていつも一緒って思われてるけど関係は割と雑だよね」

アハハハと呆気らかんと笑い続ける姿は何とも言えない。

「微妙に微妙に……が多いよな」
俺の言葉にあゆしたが少し目を見開いて、

「あんまりみなかわの発言聞いた事無かったから驚いたよー。俺の相槌ばっかりだもんね」

馬鹿にされているような気しかしない。
再び笑う、あゆしたの顔を今直ぐ殴りたい……そう思ったと同時に、既に殴り始めて居た。
自分にちょっと驚く。

「みなかわって意外と酷い」
頬を抑えながらもまだ笑い続けるあゆしたを今直ぐに病院へ連れて行き入院させてしまいたいと願う日々はまだまだ続きそうだ。

──I wonder if it is not necessarily the real intention……──

【続く】

byてるてる522