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LEGEND CHILDREN プロローグ ( No.3 )
日時: 2016/02/05 17:54
名前: 葉桜 來夢 (ID: q9MLk5x4)


チチ……チチ……

朝の日差しが部屋の中を明るく照らす。
外から聞こえてきた鳥の鳴き声で彼—『ジャーマ』は目を覚ました。

「ふぁ〜あ……もう朝かよ……」

そう言いながら枕元にある時計に目をやった。
時計は無慈悲に8時をさしていた。

「なっ……!?ヤバい、このままじゃ遅刻する!」

そう言いながら彼は布団を蹴っ飛ばし、ベッドに手を突き、勢い良く起き上がった。
そして床に置いてあった制服に着替え、一階にあるリビング目指して階段を飛び降りる。
案の定、彼の弟『グラス』が既に朝食を用意していた。
兄よりもしっかりしている弟である。

「おはよう、グラス……」
「おはよう、兄さん。もうそこでニックスさんが待ってるよ?」
「うげぇ……いただきます……」
「はい、どうぞ。僕は先に行ってるからね」
「ほーい……」

彼は弟を見送りながら、用意してあった朝御飯をかきこむ。
外では話し声が聞こえる。
何だか怒っているように聞こえる。もう嫌な予感がする。
「ごちそうさま……」
もう既に8時を過ぎていたが、まだ間に合う。
自慢の赤い髪を整え、歯を磨き、玄関を飛び出した。

「遅い」

そこに立っていた彼女—『ニックス』は彼を見るや否や、すぐさまその言葉を口に出した。
ニックスはいつでも冷静沈着—ただし彼の前では何故か違う—で、学校でも優等生だ。
髪型はショートで、スカートをはいていなかったらその名前と合わさって男にしか見えない。
などと考えていたらいきなり無言の腹パンを喰らった。

「……痛ってえ!?……いやいきなり何!?今朝飯食ったばかりだぞ!?あと周りの人見てるから!」
「五月蝿い。アンタが私の下半身見つめながら溜め息つくからでしょうが。何?変態なの?」

ニックスが怪訝な顔でこちらを見たので、彼は勢いでこう答えてしまった。
「下半身見るぐらい良いだろうが!触ってねぇだろ!?」

怪訝な顔が呆れ顔に変わった。多分変態だと思われたんだろう。
「はぁ……もういいわよ。それと、何か言うことない?」
「今日も寝坊しました。すみませんでした」
「よろしい」

そんな会話をしている内に、学校に着いた。
彼が通っているのは「アルコ・イリース魔法高等学校」。
名前の通り魔法を専門としている学校だ。
この星では、誰もが魔法を使えるわけではないので、ある意味選ばれたものが通う場所である。
彼は、その中でも炎を自在に操れるという強い魔法の使い手だった。
だが彼は、今までそんなことを気にも止めなかった。
ただ生まれつき強いだけ、そんな風にしか捉えていなかったのである。

まだ彼は何も知らなかった。
自分の先祖のこと、島の伝説のことも。

そして—

これから始まる、戦いのことも。