コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- LEGEND CHILDREN episode:2 ( No.6 )
- 日時: 2016/02/11 14:41
- 名前: 葉桜 來夢 (ID: q9MLk5x4)
ジャーマは意気揚々と先を進んでいってる……のだろうか。
光学迷彩を施されている今、彼の体も、自分の体さえもリヒトには見えなかった。
まるで自分の目だけがそこに浮いているかのような不思議な感覚だ。
ただ、そんな状況下ではお互いの居場所が分からなくなってしまうので、彼とリヒトは手を繋ぎながら音のする方へ向かっていた。
「やっぱり実験室じゃなかったな」
彼のいる方から声が聞こえる。
やはり爆発の音じゃないという彼の勘は合っていたようだ。
「じゃあ何のお……」
そこまでリヒトが言い掛けたところでまた轟音が鳴り響いた。
それに合わせるかのように地面が揺れる。
「揺れてる……のか……?」
「じゃあ地下ってことかな……?でもこの学校に地下室なんて無くない?」
「それだ!地下室だ!でかしたリヒト!」
彼は今物凄いわくわくした顔をしてるんだろうな、とリヒトは思った。
そしていきなり手を引かれた。
「う、うわああ!?」
「さぁ行くぞ!元凶探しに!」
「だからこの学校に地下室なんて……わっ」
リヒトが驚くのも当然である。
彼がいきなり止まったのは何の特徴もない棚の前だったからだ。
「よし、そっから動くなよ」
「う、うん……」
彼はそう言うと手を放し、それから棚が勝手に動き始めた。
大方彼がずらしているんだろう。
棚を完全にずらし終わると、そこには穴が開いていた。
地下に伸びている階段まである。
「なっ?地下室、あっただろ?」
「さすがジャーマ……先生より学校に詳しいって嘘じゃなかったんだね……」
「まぁな。よっし、じゃあ地下に行くぜ!」
そう言うと彼はまたリヒトの手を握った。
二人はそのまま地下に降りていった。
「……ったく、何してんのかと思ったら……」
そんな一部始終を教室からつけてきていたニックスが目撃していた。
決してストーカーではない。
「にしても、棚の下に階段だなんて……見つけるアイツもアイツだけど、誰が何のために作ったのかしら……ん?」
ニックスの足に何か硬いものが当たった。
それはさっきジャーマが落としてしまっていた、光学迷彩装置だった。
これが無いとジャーマは透明のままである。
それも地下となると結構危ないだろう。
「あの馬鹿……にしてもこんな装置、今まで何してるか分かったもんじゃないわね……」
また轟音が鳴り響いた。
そしてそれに混じって何かの声が聴こえる。
「ジャーマの声……?もう、どうすれば良いのよ……!」
ニックスの手には今装置が握られている。
……これを使うのは気が引けるが仕方がない。
「……届けに行くってことにしとこうかな」
そう言って彼女はスイッチを押し、地下に続く階段を駆け降り始めた。
<続>