コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

LEGEND CHILDREN episode:3 ( No.8 )
日時: 2016/02/21 16:11
名前: 葉桜 來夢 (ID: q9MLk5x4)


「はぁ……中々下に着かないね……」
「下るんだから帰りよりはマシだぞ」
「あぁ……帰りはこれを上るのかぁ……」

地下室に初めて行くリヒトには、階段が長く果てしないもののように思えた。
しかも周りは真っ暗である。気を付けないと今にも転びそうだ。

「お、着いた着いた」

だんだん暗闇に目が慣れてきたので、リヒトは目の前に大きな扉があることに気付いた。
ジャーマが扉を押したので、例によって勝手に開いたように見えた。

「あん?明かりが付いてる……消し忘れたのか?」

そう言いつつ、二人は部屋を見回した。

「何も……ないね」
「そうだな……」

ガタガタガタガタ!

—また振動が起こった。何かの鳴き声も聞こえる。
そして地下室の壁に亀裂が走った。
振動がだんだん強くなっていく。
まるで地下室全体が揺れているみたいに—。

「何もなくないかも。逃げるか?」
「そ、そうだね、そうした方が……」

ガラガラガラガラッ!!!

そう言った途端、部屋の扉の前に瓦礫が積み重なってしまった。

「ど、どうするのジャーマ!?」
「取り敢えず下がってろ……来るぞ!」

何者かによって壁がぶち破られた。

『ウゴゴゴゴゴゴ……グルルルルルルルルルルルル……!!!』

そこに現れたのは猛獣だった。
ライオンが二倍ぐらい大きくなったような、そんな獣である。
三つの目で此方を見下ろし、今にも取って喰ってやろうかというオーラを出している。

「俺達が……見えてるのか!?」

その言葉に答えるかのように、獣の前足がジャーマに向かって振り下ろされた。それを間一髪で避けるジャーマ。

「ちっ……!戦うしかないみたいだな……!」
「ぼ、僕も戦うよ、剣なら持ってるから……危ないから迷彩装置解いてくれる?」
「そういやそうだったな……っと!話してる途中に攻撃すんじゃねぇよ!」

獣は容赦ない攻撃を繰り返してくる。

『グルルルルルルルルルッ!!!!』

「早くしないとやられちゃうよ!」
「分かってるって……あれ?」
「どうしたの……?」
「装置が無い……無くした……」

今ジャーマは凄い青ざめた表情をしてるんだろうな……とリヒトは思った。
実際ジャーマはすごく青ざめていたのだが。

「やばい、これじゃお互いの場所が分かんなくて迂闊に攻撃……」
「うわああああああああ!!!」
「リヒト!?どうした!?」

声が上がった方を見ると、前足を上げた獣が今にも何かに目掛けて振り下ろそうとしていた。
リヒトだ。敵の攻撃を回避しているうちに距離が離れてしまい、ここからでは獣を止められそうになかった。

「くそっ……!」

獣は無情にも前足を振り下ろした—。

「クリスタルウォール!」

が、その足は何故か空中で止まった。
誰かの呪文詠唱と共に。

この声には聞き覚えがあった。
光学迷彩を解き、現れたのは……

「助けに来たわよ。この好奇心旺盛なバカ共」

ニックスだった。


<続>