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Re: 女の子は誰だってお姫様、なら。 ( No.1 )
日時: 2016/02/01 18:50
名前: 未草 睡蓮 (ID: dDPEYPay)

 私は、山篠琴乃(やましの ことの)は____自分が大嫌いだ。

 長くて纏まりにくい黒髪、青白い肌、やせ細った身体、曲がった背筋、目下の隈、思いあげれば何個でもある。その中でも三つだけはとても、嫌だった。

 一つは、一つ年下の妹、琴海ことみ。父はイギリス人で、その遺伝を注いで髪は金髪、真っ白い肌、整った顔立ちながら日本人のような顔立ちで外国人特有の近寄りがたい雰囲気はない。オマケに性格も良くて、成績優秀、容姿端麗、運動もできる。そんな妹が大嫌いだった。

 二つ目は家庭。私の家はいわゆるお金持ちで、そういう部類でもなかなかに良い地位らしい。なのにイヤなコトに部類するのは、三つ目の『イヤなコト』に起因する。


 そして、三つ目。私が使用人に言われる陰口は、『妾の子』。
私は父としか血が繋がっていない。私の母は死んで、今の母は父の再婚相手だから。なのに再婚してから生まれた妹と一歳違いなのは、本当の母は私を産むために体力を使って、私が生まれてすぐ死んだから。
父は今の母と結婚するか『少しは』迷っていたけれど、結局は再婚したみたい。見当外れだったのは、今の母の実家が格上で、影響力が強くて妾とまで罵倒される母の子の私の居場所がなくなったことだった。ま、私は母のことは尊敬しているけど。



 けれども今は、目の前の事態を収束しなきゃいけない。


 どうやら今日は私と妹の許嫁ができるらしい。
 相手は名門として有名な雨塚あまつか家。長男の相手が妹で、次男の相手が私なのを見れば、うちが誰を贔屓しているかなど丸わかりだろう。それよりも相手だ。
 妹の相手はあれだ、爽やか系スポーツいけめん…?でも、なんというか胡散臭い。笑顔が。嗚呼、名前は晴人はるとだってさ。
 で、私の相手。名前は月人つきと。こっちもまあ、イケメンなんだけど。確実に腹黒だと思う。目付きは鋭いしなんかコワイ。


「じゃあ、父さん達は話してくるから。待ってろ、琴海。」

 父はワザとらしくそう言うと、琴海の頭を撫で部屋を出た。父さんの頭には、もう私の母のことはない。私は一度だって琴海の母を母親だと思ったことなんてなかったのに。父さんは私のことなど路上の石程度にしかおもっていない。

 笑顔で返事する琴海が、憎くて憎くて堪らない。自分の母が蔑ろにされるのも、悔しくて、悔しくて許せない。