コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 女の子は誰だってお姫様、なら。 ( No.10 )
- 日時: 2016/02/01 19:17
- 名前: 未草 睡蓮 (ID: dDPEYPay)
入学式のかったるい学長先生のご挨拶とかを終えて。
周りはさもお嬢様、お坊っちゃまといった風貌の少年少女がお喋りしながら自分のクラスを確認しにクラス表の場所まで歩いている。
「私のクラスは__Aね。うん、わかりやすいわかりやすい。」
うんうん、と頷きながら1のA教室のある東校舎を目指す。心なしか他の人の目線が集まってきている気がして廊下の端の方に寄った。
と、私の肩を誰かが叩いた。もしかして、妹だろうか。Aクラスではないだろうけど、同じ東校舎の可能性はある。自分でも眉間に皺が寄るのがわかった。
しかし、妹ではなかったらしい。でも、これは__妹並みの嫌な予感がする。
妹と同じような金髪に悪役令嬢もかくやな縦ロール。でも妹のような白に近い金ではなく、もっとギラギラした金髪。非常に綺麗な顔立ちだがその目はキッ!と吊りあがり、その派手な縦ロールの金髪も相まって、もし妹と並べば正にヒロインと悪女。嗚呼、あと後ろの取り巻きさんたちも。
「貴女、晴人様の婚約者の山篠琴海様ですわね!」
「ね!」ってどういうことだ。そこは「ね?」だろ。どうやら彼女は私を妹と間違えているらしい。まさか本当に妹を虐めるつもりか。まあかといって優しいお姉さま!みたいな感じで自分が妹だと言ってわざわざ馬鹿妹を庇うつもりなどない。そう思い勘違いを解こうとして__
「晴人様は貴女如きと婚約するようなお方ではないわ! 況してや華僑院家を差し置いてだなんて!!」
いろいろと早口で捲し立てるように言う華僑院さんと取り巻き1と2。するとまたぽん、と肩に人の手の感触が。怪訝な顔で私の肩を叩いた人物を見る。それはどうやら妹の婚約者様の月人ようだった。
「は、晴人様……!」
「愛空。彼女は琴海ではない。姉の琴乃さんだよ。___愛空……迷惑だ。今後一切僕に関わらないでくれ。」
月人がにこり、と非常に胡散臭い笑みを浮かべた。そう言われた彼女__華僑院愛空さんは大きく目を見開き、その瞳を瞬かせ目に涙を溜めた。そして耐えきれなくなったようにお嬢様らしくなく駆け出した。
そっか、身分とか関係なく、晴人のことが___好きだったのか。
まあある程度は人の心のある私は思わず晴人を睨んだ。良く言えば良心、悪く言えば同情心で。
「何かな? ……僕は君を助けただけだ。」
「華僑院さんは、お知り合いですか?」
「元婚約者だよ。でも前々から迷惑掛けられててね。僕に近づく子はみんな敵だって攻撃してて。」
心底うざったそうに晴人は言った。