コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Hello,world! ( No.12 )
- 日時: 2016/03/05 20:23
- 名前: 海の幸 (ID: EwVeSaUz)
「ごめん、マクベスさん。まさかあんなに弱いとは思ってもみなかったんだ。見た目すげーガチムチだから耐久力あるかと思ったらそうでもなくて心底驚いたっていうか……。まあ、結論的にいえばご……、あ、やばい。眠いから帰っていいですかあとでフルーツ盛り合わせセット持って行かせるんで。宅配で」
「お前謝る気ないだろ」
医務室にて。
夜明はコクリコクリと頭を上下させながらツラツラと長い言葉を発した。
「眠い」と。
そしてマクベス氏はそんな彼女に怒りを通り越して呆れるしかなかった。
そして彼の小説内における最後の言葉である。
※
「いやー、無事にアイリスお嬢様も帰ってもらってよかったよかった」
「もう来ないといいね」
ほっとしたようにワッツはテーブルに膝をつく。そして安心しきったのか、安どのため息を吐いていた。
夜明は大して興味なさそうに何かの書類を見ている。
妙に真剣に。
「……おい夜明。お前何見てるんだ?」
「護衛・用心棒希望者リスト」
「ほぉ〜……。確か4月に新入りが入るんだったな、それにしても珍しいな。お前、大して新入りとか興味なかったろ」
ワッツは夜明から用紙を受け取ると感心したように彼女を見る。
一瞬、夜明は渋柿のような何とも言えない表情になった。
……が、意を決したように決して大きくはない声で言う。
「……キースがさ。お前もそろそろジークリンデ家の古株用心棒になってきたんだから新入りの世話ぐらいしろって言いやがったんだよ」
「へぇ、それで?」
「一回面倒くさいって断った。けど、今年は業務が忙しくなるって聞いてそれに加えてちゃんとした新入りを入れないとお前に40倍ぐらいの負担が伴うって言われて……」
(……キースの奴、脅したな。学校も用心棒家業もそこそこしかやらないこの面倒くさがり屋を焚付ける為に)
すぐさまワッツはキースの思惑を理解したが、これを夜明に言ったら確実にこの仕事を放棄しかねないので黙っていた。
それも知らずに夜明は真剣に書類を何度も何度も捲っている。
見ていて何とも奇妙な光景だ。
あえてワッツは見守ることにした。
「で、何人決めたんだ?」
「……3人」
「どんな奴……っておいお前!」
キュッと夜明は赤ペンで人物の写真に丸を付ける。
それを見たワッツは思わず声を荒げた。
なぜなら……。
「東大合格で尚且つ、少林寺拳法の全国大会優勝者と傭兵歴20年の超ベテランと暗殺と諜報ならなんでもお任せのセクシー美女!? やめろ!俺たちのキャラが霞むぞ!? つーか、此奴らで物語作れるから此奴らだけはやめろよ」
「もう疲れたんだよ。疲れたんだよ、主人公兼ヒロインは。ていうか主人公ってガラでもないしもう終わらせようよこの話を。もうめんどくせーよ」
「つーかところどころ作者の本音は言ってるんだけどどこからお前の言葉なの」
夜明はこのキャラの濃すぎる3人を加入させてしまうのか!?
そして主人公交代になってしまうのか!?
……続く。