コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Hello,world! ( No.6 )
- 日時: 2016/01/11 20:56
- 名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)
「数学・現代文・英語・科学・保健体育・地理・世界史・物理・日本史・地学基礎……。一通り買ってきたようだな」
「いやー、重かった重かった」
「教科書を破棄していなければこのようなことにならなかっただろう」
教科書を一通り買い終えた夜明は、ちゃんと買ってきたかどうかキースに証明するため彼の自室へ直行した。
調べるのに5分ぐらい目通しをしたキースは教科書を整えながら夜明に返す。
夜明はいかに教科書が重かったかを表すために疲れたふりをするが、キースはそれを一蹴した。
そして、ふと、思い出した夜明はキースに問う。
「……そういえばさ、私とワッツが帰る前にお客さん来なかった?」
「来たが。それがどうかしたのか?」
「その人の名前アイリスとか言ってなかった?パツキンのイギリス人」
「ああ。……どうしてお前が知っている」
キースは警戒するように夜明を見る。
なんか警戒されてんな、と思いつつ夜明は否定しながら手をぶんぶん振った。
「いやー、その人教科書買いに行く通りすがりに昭和的なナンパされてたんスよ。そんで助けたらこの屋敷どこだーって言ってたから」
「……お前にはあとで言おうと思っていたんだが……」
はあ、とため息をつくキース。
そして困ったようにこめかみに手を当てると唸るように話し出した。
「アイリス様……つまり、イギリスの会社のお嬢様なんだが———……。3日後にワッツ様とのお見合いのために来日なされたんだ」
「ほー。ついにワッツにはおっそすぎる春到来かー。いやー、アラサーになる前に結婚できるなんて用心棒冥利に尽きますなぁ」
「……他人事だな」
「ええ、結構どうでもいい話です。それで、ワッツはなんて?」
「……今は結婚する気はないと、仰られている」
ぐぐぐ……。と強く頭を押さえながらキースは話す。余程頭の痛い話になっているのだろう。
心なしか歯ぎしりもしている。
夜明はキースの部屋にあるクッキーを勝手に拝借しながら部屋を見渡す。
「そりゃ頭の痛い話だぜ。つーか、何でこんな話になったん」
「アイリス様のお父上がワッツ様の写真を一目見て気に入ったそうだ。『うちの娘をぜひ貰ってくれ』と」
「HITOMEBOREですな」
「だがアイリス様はともかく、ワッツ様はお見合いを断固拒否なさってしまっている。困った話だ」
(……だからあの時屋敷とは違う方法指さしたのか)
目の前にいるイケメンの顔色がだんだん悪くなっていくのは気のせいではないだろう。
相当悩みこんでいる。下手したら胃に穴が開くレベルの。
ベッドに座り込み、考える人のポーズを心なしか取っている。
クッキーを全部イートした夜明はキースの隣に座る。
「……で、アイリスさんって幾つなの。見た感じ可愛い感じだったけど。まぁ、性格は典型的な猫かぶりお嬢様で結婚して本性出したら何でもかんでもブランドものばかり請求してくる我儘女に豹変しそうな予感」
「何で一目見ただけでそこまで詳しい判断ができる」
「見た目的には23ぐらい?」
「……いや、16歳だ」
「ワッツの経歴にロリコンという4文字が追加されるな」
そして3日後がやってくる。