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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 2話 とある荒野で ( No.7 )
- 日時: 2016/01/26 18:40
- 名前: りあむ* (ID: .pUthb6u)
*とある荒野で 1
「はぁっ……はぁ、はあっ……!」
肩から二の腕にかけて紅の血を流し、荒野をただひとり駆けるのは、まだ年端もいかない小さな幼い娘です。
見渡す限り、荒野の赤い地面。遠くの方で、微かに硝煙があがっています。
もともとはとても上等なものだったと思わせる純白の服は、肩から裂け、真っ赤な血に染められてしまいました。肩から覗く白い肌は、生まれてこのかた、太陽の光を知らなかったように見えます。
人買いしか通らないこの荒野に、一体何が起こって幼い娘が来なければならないのでしょう。
今日はまだ、遠い西の果てでひとりの良き王が亡くなる、少し前。
ひとつの大帝国が滅んだ日です。
そう、先ほど、歴史が大きく変わる、そしてやがて、大陸中を震わせることになる大事件が起こったのでした。
不意に少女は立ち止まり、後ろを振り返りました。何もない、宙の一点を見つめ、まるで怯えるように、少しずつ後退しています。
「マー、キュ……リー……ごめ、んなさ……」
大切なひとの名を呼ぶ、掠れた声。
意識が途切れ、まるで人形の糸が切れるように、少女は荒野に倒れこみました。
見渡す限り、荒野の赤い地面。遠くの方で、微かに硝煙があがっています。
そして静かに、人買いの近づくひづめの音が、遠くから響いてきていました。
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