コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 謎嫌い探偵の事件簿 ( No.2 )
日時: 2016/01/30 00:48
名前: 相楽 (ID: g1CGXsHm)
参照: さがら、と読みます。悠は、はる。


悠がようやく時計を見ると、夜の10時をとうに過ぎていた。

「はぁ……疲れたな。」

痴漢犯を撃退し、その後は通常通り学校、放課後は真っ直ぐバイト。
22時までの勤務を終えた帰路で、いつもの怒涛のような1日にホッと息をついた。
しかし、帰っても寝ておやすみではないのだ。
夕飯を食べて食器を片付けて、今日の授業の復習をしてからやっと眠りにつけるのだ。
両親が亡くなり、頼れる親戚もいない今は自力でなんとかしていくしかなかった。
週6のバイト、生活が厳しい時は許可を得て短期のアルバイトを更に掛け持ち。去年1度過労で倒れた事あったっけ、と目と鼻の先にある我が家を見ながら思い起こした。

思い出した。今朝の夢を。父親の弟の事を。

鍵穴に鍵を差し込み、家の中に入る。
そうだ、お父さんの弟。今の今まで忘れていた。
もし会えるなら会ってみたい。今朝の思いが同じようにして、悠の頭を巡った。

だが、どうやって調べればいいのだろう?

伝(つて)なんてない。
名前も……。

「あ。」

脱いだ制服をハンガーに通してクロゼットの取っ手にかけた。

『葵君、元気にしてるかしらね。』

どの場面かはわからない。
ただ、お母さんが言った言葉だけが脳内にポンッと現れた。

「お父さんの弟だから……瀬名葵?」

スマホを取り出して、試しに瀬名葵とうってみた。
もしSNSをやっているなら、ひょっとするとヒットするかもしれない。
しかし、検索結果は意外なものだった。
地名だったり、苗字、または名前部分だけのヒットもあったがその中に唯一ピタリと当てはまりそうなものがあった。

「平成の……ホームズ?」

タップして詳細を見ると、地元情報誌について感想を述べている誰かのブログだった。
その情報誌にかかれたお店がどうとか、色々と悠にとってはどうでもいい言葉がしばらく並んでいたので、少しばかり早く下へスクロールした。
すると、最後に数行、目的の事がかいてあった。

「この情報誌にのってるコラムの内容少し気になってしまいました……あらゆる事件を解決しながらも、手柄を全て警察に託し己は一切メディアに出てこない……まるで平成のホームズとかかれた瀬名葵さん、どういう人なんでしょうか……これから彼女(彼なんでしょうか?)の活躍に期待ですね……。いや、まさかそんな。」

画面を見ながら悠は、ははっと乾いた笑いをするも同姓同名及びこの情報誌が今住んでいる地元のものであることに、どうもひっかかってならなかった。
他にもヒットした検索結果を見てみるも、たいした情報は得られなかった。

「……葵おじさん、何者なんだろう。」

電源をオフにして、しばらく空を見つめてボウっと考え込んだ。
ひとまずはこの情報誌を手に入れこの目で確かめてから、コラムを書いたというライターさんに連絡するしかない。
そう決めると、よっこいしょと立ち上がり遅い夕飯の準備をした。