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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 謎嫌い探偵の事件簿 ( No.7 )
- 日時: 2016/02/05 16:03
- 名前: 相楽 (ID: g1CGXsHm)
「ほんっとう酷いんだから!あの男!」
「なしたのよ、悠ちゃん。そんな怖い顔しちゃって。」
とあるスーパーの休憩室で、悠は葵の顔を思い出してテーブルをドンと叩いた。
その姿に驚く仲間の朝倉一颯(いっさ)に、悠は叔父騒動の顛末を手短に説明した。
「確かに、随分と冷たいね。悠ちゃんの気持ちは最もだと思うよ?」
「ですよね!優しいお父さんの弟とは思えないです。」
「本当そうだよねー。可愛い子に対して、俺はそういう態度とれないなぁ。」
「全くです……、朝倉さん、今変な事言いましたね。」
「言ってない言ってない。」
ニコニコとした表情を変えず、朝倉はのんびりとした口調で言った。
「え、っと。そろそろ、時間なので、仕事に戻りますねっ。」
「そうだね。じゃ、残り時間もお互い頑張ろうね。」
朝倉はクシャッと悠の頭を撫でた。
この不思議な大学生の仕事仲間とは1年程仲良くしてるが、未だにこの人の本性がわからずにいて悠は時々戸惑うのだった。
表情は基本的にニコニコしていて、人当たりも良い。しかし、あまりにも言葉をサラッと言うので、悠はその言葉をこの人が本当にそう思っているのか時々疑問を持つのだった。
そんな悠の心を見透かしたのか、別れ際に朝倉は優しく言った。
「俺は嘘つかないよ。」
「人間、みんな嘘つく生き物だと思うんですが……。」
「あぁ、そうだったね。ごめんごめん。」
ブレないその空気感に、ますます悠は困惑する。
優しいし、嫌いではないのだが。
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