コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 偽りと解放 〜真実を求め汝は彷徨うか〜 ( No.3 )
日時: 2016/02/05 20:41
名前: リリディム (ID: UcGDDbHP)

「貴方は何者ですか……?」
紳士は老人に問いながら鞭を離させようとするが、全く動かない。
老人はふむ、と顎に手を添えると、自己紹介を始める事にした。
「我が名は『龍燈』……つい先刻、この街に着いた旅人である」
「旅人だと? ……いきなり現れて、しかも馬鹿みたいな力持ってる爺さんが旅人ってだけで済むかよ?」
苦笑いで少し退くチンピラ。 その時にトン、と誰かにぶつかった。
「「「……!?」」」
チンピラがぶつかった先には、明らかに身の丈に合わない大槍を担ぐ、目元まで帽子を被る男がいたのだ。
「馬鹿な!? この老人といい、この男といい……何処の者ですか!?」
「俺や龍燈は【能力】持ちの旅人って以外、身分はねえ……」
「ただ、困った者には手を差し伸べ、悪業を行う者には制裁を加える程度の者だがな」
男は悪どい笑みを浮かべながら、龍燈は淡々と事務的に語る。
(こ、この人達は……あのチンピラや紳士よりも、遥か高みの存在だ!?)
僕は二人が放つプレッシャーに飲まれかけたが、突如後ろに現れた龍燈と名乗る老人に肩を優しく叩かれた。
「飲まれるな少年。 飲まれたら死ぬぞ」
「つっても、テメェにゃ圧かけちゃいねえけどな」
ゲラゲラと笑いながら帽子を被る男が笑う。 そして、その男の顔に……火球が当たった。
「!?」
「へっ! 隙だらけなんだよバーカ! とっとと燃え尽きて死ね!」
チンピラは攻撃が当たった事で調子を取り戻した、しかし、紳士は違う反応をしていた。
「いや……あの攻撃は……『あの程度』では駄目です!」

「痛えだろゴルァ!」
「ガッ!?」
思いっきり振り抜かれた大槍の薙ぎ払い。 ただの薙ぎ払いでチンピラは遠くの燃え尽きたビル一つを貫通し、もう一つのビルの壁をぶち抜いて気絶した。
「ガ……ハァ……」
「何という怪力!? これが貴方の【能力】ですか!?」
紳士が戦慄し、男が未だ笑みを崩さずに向き直る。 今度はプレッシャーだけではない……明確な『殺意』をも織り交ぜた圧をかけていた。

「名乗ってやるよ……俺は『零無』、【能力】の名は【毘沙門天】(ビシャモンテン)……武器を持っている間、如何なる【能力】の恩恵を無視し、圧倒的武力を翳す【能力】殺しの【能力】だ、宜しくな」
男、零無はより一層黒い笑みを浮かべた。