コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: カワルミライ ( No.5 )
- 日時: 2016/02/07 18:06
- 名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)
それを聞いた功さんは目を点にしている。まあ、当たり前だけど。
「あの・・・・・・功さん大丈夫ですか? あの、大丈夫だったらあなたが助けようとしている人・・・・・・彩穂 徹さんのこと話そうと思ったんですけど・・・・・・。でも、体が受け止めきれないようならやめときますけど」
たぶん、この言葉は脅しに似ているだろうけど言わなきゃいけない。これは仕事。今はその仕事に不祥事がおきたかから、その当事者になるであろう人に言わなきゃいけない。辛いけど、苦しいけど、言わなくちゃいけない。これが私の選んだ「仕事」だから。でも、私の心配とは裏腹に功さんは意を決したようにいった。
「大丈夫。もう、驚かない。だから、聞かせて欲しい。あのいつが——徹がここに来たときにどういうやり取りをしたかを」
それを聞いて、私は安心して、少し深呼吸する。
「そうですか、では話しましょう。私と徹さんがどうゆうやり取りをしたのかを」
そして私は語り始めた。今回の以来の元凶となる話を。今はない現実を。
あれは私にとって最近のことで、その日は雨が降っていてとてもジメジメしていて気持ち悪かった事を覚えている。そんな日に来たのが、彩穂 徹さんだった。
徹さんの顔はひどく疲れているようで今にも死んでしまいそうなというか死にたいというようなオーラを発していた。そんな人からの第一声は、
「お穣ちゃんがうそみたいな事をやって見せるお店の人かい?」
というものだった。今にも消えそうな声だった。
「はい」
と、私は答えた。その後は外ではなんなのでということで今、功さんがいる部屋に通した。なんの飲み物飲むかと聞いたらコーヒーと答えたので温かいコーヒーを淹れて、徹さんに渡した。
コーヒーを渡された徹さんはゆっくりとコーヒーを飲み、気持ちを整えるようにふぅと息を吐いて徹さんは泣きながら、声を振り絞りながら話し出した。
「ここに来た理由はね、この前、俺にとってものすごい大切な恩人を亡くしてしまってね。その人を・・・・・・生き返らしたいからなんだよ。その・・・・・・俺のせいで死んでしまったから。俺なんかを・・・・・・俺なんかをかばって・・・・・・刺されで、切り刻まれて・・・・・・血まみれになって・・・・・・灰になった・・・・・・。何も・・・・・・できなかった。何も・・・・・・何も・・・・・・俺は・・・・・・あの人を助けられなかった・・・・・・ただただ・・・・・・泣き叫んで・・・・・・やめろとしか・・・・・・いえなかった・・・・・・。行動に・・・・・・移せなかった・・・・・・。だから・・・・・・過去を・・・・・・変えて・・・・・・ください・・・・・・。あの人を・・・・・・生き返らせてください・・・・・・。お願いします・・・・・・。お願いします・・・・・・」
辛そうに悲しそう徹さんはそういったのだった。私は、見ているだけで悲しくなった。同情だろうか・・・・・・?そして私は承諾したのだ。
「わかりました。その依頼・・・・・・受けましょう」
それを聞いた徹さんは
「本当ですか!? ありがとうございます・・・・・・。ありがとうございます」
とてもうれしそうだった。いつの間にか、敬語になっている徹さんに気づいたのはそのときだったが、そのことは置いといた。その後したことは簡単で、紙に手を置いてもらっていろいろな事をもっと細かく把握し、依頼を実行した。
だかしかし・・・・・・徹さんの願いは半分かなって半分叶わなかった。それに気づいたのは新聞だった。その事件が書いてあった約1ヶ月前の新聞。私は・・・・・・泣いた。私は、一人の命を救い、その代わり一人の命を奪った。それが・・・・・・とても辛かった。嫌だった。でも、何もしなかった。出来なかった。なぜならそこに・・・・・・功さんが来たからである。
「ちょっとまって」
私の話を静かに聞いていた功さんが私の話を中断するように言った。
「なんですか?あと、これで話は終わりです」
「そうなんだ・・・・・・。で、あのさ」
「なんですか?」
「矛盾がおきてる。さっき、君はあの光る変な紙を見て徹君を思い出していた。ならなぜ、お譲ちゃんは俺の顔を見て俺だってことが解らなかったんだ?」
功さんは少し怒っているようだった。それもそうだけど——。私も話していて矛盾しているなと思ったけど——。でも・・・・・・しょうがないんだ——。
「しょうがないじゃないですか・・・・・・。だって・・・・・・。体型が・・・・・・。雰囲気が・・・・・・違ったんですから」
そう。功さんはあの時映像で見たときよりもっと痩せていた。別人みたいに。私があの時見た紙の中の功さんはいわゆる肥満体系の部類に入っていた。
しかし、今の功さんは頬に少し影ができるくらいに痩せていた。だから、気づけなかった。
「すみません。もっと・・・・・・私が物分かりがいい人だったらよかったんですが。すみません。気づけなくて」
功さんは申し訳なさそうな顔をしながら言った。どうやら功さんは私の心理的状況を分かってしまったらしい。エスパーか。
「いや、そうだよな・・・・・・。見たときと今が一緒とは限らないもんな。ゴメンな・・・・・・。謝るのは俺だった。ゴメンな」
「? なんで・・・・・・なんで功さんが謝るんですか?」
私の純粋な疑問だった。