コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まま自由な短編小説 『イベント期間中!』 ( No.112 )
- 日時: 2016/03/23 20:14
- 名前: 彩都 (ID: sE.KM5jw)
『人生を紙袋に入れて』
私は呑気に自分の新居がある街を歩いていた……私の街……良い街だ……って、この街に来て、数日の私が言える立場ではないだろうが……
私は、旅人だ……毎日の刺激が欲しくて、色々なセカイに行ったりしている……セカイは広い……どんな空気でも、どんな雰囲気でも良い……目の前に入る光景そのものが、刺激的なのだから……そして、私はその新居を探している──まぁ、新しい街は少しでも、知れる様に、歩いて、探検したりしている、前、住んだ所は、とても美味しい珈琲屋に着いて、とても喜んだが、自宅の帰り道を忘れてしまったのだ、今回も同じく、忘れてしまったのだ──少し溜息を吐きながら一人ごちた。
「あれぇ……? 何処だったけぇ……? 完全に地図にしておけば良かったかな?」
そう言いながら、私は、暗い細道を紙袋二つ持って、歩いていた……完全に道を間違えてる気がするが、まぁ、進めば何とかなるだろう……
すると、老舗の匂いがする珈琲屋を見つけた……私はこういう喫茶店を見つける能力があるのだろうか? そう思いながらも、喉は温かいコーヒーを求めていた……まぁ、お金もあるし……入るとしましょうか? いや、入ります。
中はがらんとしている……良い匂いの珈琲が鼻を擽(くすぐ)る……いかにも老舗! みたいな木の机は、傷だらけで、とても味わい深い机だった……そして、私は、そんな机があるカウンターに座った──周りの椅子に紙袋を置いて──そして、オリジナルを頼んだ……
「お客さん……一人ですか?」
タキシードを着たお爺さんが私に話し掛ける……私は、『はい、そうです』と言った、すると、紙袋を見て、少し不思議がった。
「あぁ、コレですか? ……私の旅の一式と、旅の途中で手に入れた、私のお気に入りですね……この紙袋の中身を見れば、私の人生が分かっちゃったりします」
「へぇ……それは楽しみですねぇ……少し、旅のお話を話してくれませんか?」
「えぇ、良いですよ……」
そう言いながら、私は、右の紙袋の中から、一つの独楽を取り出した……お爺さんは、喉が渇かぬ様に、冷水を出した。
「まず、この独楽は、中国に旅した時に手に入れたんです……」
私が、『中国の空気を味わいたいなぁ』って、思った時に、単身中国に向かった訳なんですけど……
「ヘイ! オジョウサン! コノ中国4000ネンノエイチガギョウシュクシタ、パワーストーントオナジノウリョクヲモッタ、コノコマイラナイカイ?」
「いや、要りませんよ! そんなの使えないじゃないですか!」
「イヤイヤ! コノコマヲショユウシタシュンカン、コウフクニナルヨー! ゼッタイモッタホウガイイヨー!」
あまりにも、押しが強いので、私は買う事にしました……
「ネダンハ100000円ヨー! ヤスイヨー! オジョウサンガカワイイカラトクベツカカクヨー! ヤスイヨネ! カウヨネ!?」
そう言われて、買うのを辞めましたが……
「ナンデカワナイアル!? カッタホウガミノタメヨー! コレモッテナイト、コノサキフアンヨー!」
その時は、『買えば、消えるでしょ……』と思って買いましたが……
「コレヲカウナラ、コノ『龍神ノ竜眼』モイカガー?」
「流石に要りません!」
何とか、その場を後にして、私は走って逃げましたが……まぁ、面白い良い買い物をした、と思ってますよ……
「何とも、興味深い話なんです……ちょっと聞きたいのですが、その中国人は、誰なんでしょう?」
「さぁ……? 名前は知りませんが、まるで、漫画みたいに髭を括った赤い服の男性で、小太り……と言った所でしょうか?」
「では、その時買った場所は何処です?」
「確か……四川省ですね」
「分かりました……ん? これは……」
お爺さんは、紙袋の中を見た……謎の棒があって、それを手に取った……
「あぁ、それは、イタリアで貰った、ピザ伸ばしの棒ですって」
「ピザ伸ばし……それは、面白い……初めて見ましたよ……」
「でしょうね……あまり見る物では無いですし……」
「この棒にも、何かお話が?」
「えぇえぇ、それはありますとも……ですが、下ネタが入るので、辞めておきます」
「おっと、それは失礼しました……」
お爺さんが謝って、ケーキを出してきた……私はそれを押して返した……
珈琲は少し冷えており、私は、『飲みやすいな』と思いながら、半分飲んだ。
「他にも良い話はありますかな?」
お爺さんがそう言ったので、私は、奥に入っていた、手のひらサイズの箱を取り出した……その箱をお爺さんは不思議そうに見ていた。
「これは、絡繰の箱ですね……昔は、箪笥等に使用されていた絡繰の箱ですが、小物用の種類もありましたので、買ってみたんですが……中々全体が開かなくてですね……」
そう言いながら、私は、箱の手前をスライドさせる……すると、箱の上の方が開いた……それに対し、お爺さんは驚いている。
「こういう風に絡繰満載の箱なんですよ……因みに老舗のお店で買いました、3万円です」
その値段に対し、お爺さんは驚いている、まぁ、こんな箱に3万も掛ける大人は私位な者だろう……
そう思っていると、懐かしい物を見つけた……これは……? とお爺さんは言った。
「これは……私が始めて外国に行った時の……トランプですね……」
懐かしいなぁ……そう思っていると、お爺さんはニコニコ笑っていた……
「本当に思い入れのある品なんですね……此処からでも分かりますよ……そのトランプは貴方にとっても愛されている事を……」
「そうですかぁ? ……私は呑気にババ抜きや、ジジ抜き……七並べや大富豪したりしてたけど……そこ迄愛した事は無いなぁ……」
そういうと、お爺さんは言った。
「いえいえ……私には、物を見る目があるんです……貴方のそのトランプは……とても貴方が愛していますよ……だから、もっと愛して下さいね……」
「はぁ……そうですか……あっ、私、もう帰りますね」
そう言って、お財布を取り出すとお爺さんは言った。
「いいえ、お金は要りません……お客様のその話で十分ですから……」
「そうですか……」
少し驚きながらも、私は外に出る事にした……夏の夜風が涼しかった……すると、急に道を思い出してきた……少しだけだが……
呑気に歩いていると、妹が、家の前に立っていた……すると、いきなり抱き締めてきた……一応帰ってこないから心配していたらしい……まぁ、家の前に居て、安心したが……
私は、妹に、外国の買った物の話をした……どれも奇想天外な話で信じてくれなかったけど、トランプだけは信じてくれた、私達は、そのトランプで遊んだ……
そして、遊び過ぎて、私達はその場で寝てしまった……起きたら、珈琲屋の話をしないとな……そう思いながら、次の朝、起きて、妹に話をした……まぁ、妹も珈琲が好きなので、一緒に行く事にした……だが、そのお店に行くと、空き地だった……
「おねーちゃん、本当にそのお店で珈琲飲んだの? 嘘じゃないの?」
「……あれぇ……? 道を間違えたかな? 確か此処で良い筈なのに……」
「全く……おねーちゃんはそう言う所がドジなんだから……」
「うっさいな!」
そんな会話をしながら、私達は、家に帰る事にした……そして、妹が帰った後、紙袋を見る……この中には、私の人生が詰まっている……こんなに楽しい人生は無いだろう……そう思いながら、私はベッドに寝転んだ……この紙袋の中には、私の人生が詰まっている……また、この中にこの街の物が入るとなると、少しドキドキした……この紙袋に入るのは、私の人生なのだから……
おまけ
中国四川省……そこに、タキシードのお爺さんがいた……
「ン?ナニアルカ?」
「いやぁ……数年前にお嬢さんに10万で独楽を売ったってね」
「ソウアルケド……」
「私はねぇ……ぼったくりが嫌いなんだよ……」
ビュンッ! と、一発の拳が中国人の顎を捉えた……そして、中国人は、倒れた……気絶したようだった……
その後、ぼったくりの中国人として、彼は逮捕された事をコーヒーを飲んだ女性は知らない……
こんな感じですかね……力が無くて、すみません……