コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まま自由な短編小説 『イベント期間中!』 ( No.114 )
- 日時: 2016/03/29 19:09
- 名前: 彩都 (ID: fhP2fUVm)
『お花見』
桜が舞い散るこの季節──そんな季節にこの秋桜(しゅうおう)市に、一人の少女──名前は安芸野咲倉(あきのさくら)が引っ越してきた──咲倉は幼稚園の頃に隣の県に引っ越して、中学三年生迄離れていた、そして、高校に入る為にこの街に戻ってきたのだ。
「此処が……私の新たな家……って、ボロアパートじゃないの!?」
咲倉は大声を荒げて言った、築100年は経っていそうな程、古いアパートだった。
「大丈夫だよ、風呂もトイレも個人付きだし」
大家はそう言いながら、咲倉に鍵を渡して、去った、大家はよぼよぼのおじいさんだった。
嘘でしょ……?このアパートは無いわぁ……そう思っていると、奥の部屋から、スーツ姿の男性が現れた──咲倉を見るや否や、声を出した。
「えっ!? 咲倉ちゃん!? 何でこんなアパートに!?」
そう言うと咲倉は言った。
「均にぃ!? 何でこんなアパートに!?」
そう言いながら、二人は指を指していた。
スーツ姿の青年──名前は秋津均(あきつひとし)、企業の部長である──は頭を掻きながら言った。
「何と……懐かしいね──お兄ちゃんとして色々探検したねぇ……」
声はすっきりとした声になっていた、声変わりとは、此処迄変わるのか、そう思いながら、咲倉も言った。
「私も、高校に入るから、此処のアパートに入居したんだ」
「へぇ……もう高校か……成長したなぁ……」
均はそう言いながら、咲倉の頭を撫でる。
……少し恥ずかしいなぁ……そう思いながら、均は仕事に向かった。
……私もダンボールとか片付けなきゃ……そう思いながら、自宅になる部屋に入った──
「あー入学おめでとう御座いますー」
ダルそうに言う校長先生の話を無視して、咲倉はクラス表を見た──1−2か……まぁ、普通といえば普通か。
そう思いながら、1−2に移動──すると、金髪のショートカットのヤンキーに見える少年がクラスの中に居た、そして、男子達と会話していた。
「──でさぁ! そして知り合いが言ったんだよ、『バルサミコ酢!』って!」
「マジかよ!」
「アハハハハ!」
そして咲倉は驚く、その金髪の少年の右隣が自分の机だと言う事を──
「はぁ……」
溜息を吐きながら、その隣に座る、まぁ、私の机の上に座ってない分、許そう。
そう思いこんだ瞬間、教師が中に入ってきた。
「お早う、私はこのクラスを受け持つ事になった、聖秋乃(ひじりあきの)だ、よろ」
そう言いながら、名前の確認、自己紹介を済ませる。
「私は安芸野咲倉です、宜しく御願いします」
「俺は石神淳一、いたって、ノーマルだ」
「私は鵜野広大だ、勉強は得意だから、分からなかったら、俺に聞いても良いぞ」
「わたくしは、江ノ島裕香でございます」
そして、金髪の少年の番になる。
「俺は大和田真輔(おおわだしんすけ)、サッカー部のキャプテンを務めた事もある」
そう、自己紹介して、椅子に座る……こんなチャラそうな男がサッカー部ねぇ……
そう思いながら、金髪の少年を見ていると、金髪の少年は咲倉に気付いた。
「何だ? 俺の顔に何か付いてるか?」
「いっ、いや、何でもない……」
この人の印象──怖い。
そう思いながら、入学式は終わりを告げる……
「ふぅ……大変だった……」
そう思いながら、鞄を肩に担いで、部屋の中に入る──教科書販売がその日にあって、一年分の教科書を買わなければならなかったのだ、だが、こんなに重いとは……
「もう……大変だなぁ……今日は何を食べようか……?」
そう思った矢先だった、家のベルが鳴った、誰だろう? そう思いながら、玄関を開けた、そこに居たのは、均だった。
「やぁ、入学式だったんだね、忙しかったろう、肉じゃがが有る、食べるかい?」
「えっ? 良いんですか!? 良かったぁ〜買いに行こうとしてたんですよ」
「いやぁ、それは間に合ったようだね、ぬくぬくだから、早めに食べないとね」
そう言いながら、制服姿の咲倉をお姫様抱っこをする。
「ちょっと!? 均にぃ!?」
「はいはい、疲れたお姫様は王子様のお姫様抱っこでゆっくりしな」
そう言いながら、階段を登って、均の部屋に行く。
そして、部屋の前で下ろして、中に入れる──そういえば、独身男性の部屋の中って入った事が無いなぁ──そう思いながら、匂いを嗅いだ、肉じゃがの醤油の匂いしかしない……
「ハハハ……男性の家の匂いが気になるのかい? 甘いね、毎日消臭スプレーしているから、匂わない!」
そう言いながら、均も靴を脱いで、部屋の中に入る……やっぱ、均にぃは相も変わらず優しいなぁ……そう思いながら、自分は気付く、均にぃに惚れている自分が居ると……
そんな筈は無い、そう思いながら、肉じゃがの肉ばっか食べた……
大変だ……移動教室が、こんなに大変とは……何で、別教室に行く為に、外を一回挟まなければならないのだ……そう思いながら、クラス分のノートを運ぶ咲倉。
だが、階段を登ってきた真輔とぶつかり、ノートを落としてしまう。
「あっ……やっちた……大丈夫か、あー──あー……何だっけ?」
「安芸野咲倉です」
「そうだそうだ、安芸野、俺も少しは運ぶよ、俺は加害者だからな」
そう言いながら、全員のノートの八割を持って、別教室へ向かう。
「おおー、有難う、二人共、助かった、これを明日迄に見なくちゃいけんのだ、教師も大変だ」
「そッスね、じゃっ! 俺達はこれで!」
「おう、助かった二人共」
先生はそう言いながら、扉を閉めた。
「……ふぅー、やっぱ、良い事した後って気持ち良いなー、お前もそう思うだろ、安芸野?」
「……そうねぇ」
相手を軽くいなしながら、歩く──そして、咲倉は言った。
「……何で着いて来てるの?」
「いや、俺だって、こっちなんだけど」
真輔はそう言いながら、次の授業の説明をする、そして、何時の間にか、次の授業の部屋に辿り着いた。
そして、授業を受けて、授業が終わる……
「ふぅ……大変……」
そう思いながら教科書を一つに纏めて、鞄の中に入れる。
真輔は先生の手伝いをしていたりする。
本当は良い奴なのではないか? そんな事は頭をよぎる、いや、そんな事は無い見た目が悪いんだから、中も悪い、そう思っていると、睡魔が襲ってきた。
段々と眠くなる……そのまま咲倉は寝てしまった。
「……の! ……安芸野って! ……起きないな」
そう聞こえたので、咲倉は起きた。
「おっ、起きたな、単刀直入に言おう、閉じ込められた」
その発言を聞いて咲倉は周りを見る、外はもう夜になっていた、えっ? 私を起こす為に待っててくれたの?
「そう言う事だ……」
そう言いながら、真輔は入口のドアに椅子を投げつける、真輔は言った。
「俺は迷惑を受けても良い、でも……他人には迷惑を掛けたくないんだよ!」
そう言いながら、椅子で、扉を吹き飛ばす、そして、真輔は言った。
「さぁ、出ようぜ?」
そのかっこよさに咲倉は惚れた……って、均にぃが好きなのに、この人にも惚れちゃったの!?
そう思いながら、その日は帰れた……それから私は、二人の事を何時も考えていた……授業中でも、食事中でも、お風呂の中でも……そして、やっと自分の気持ちに気付く…… 告白しよう……そう思いながら、相手の家に向かって、相手に話を持ちかけた……場所は、大きな桜の樹の下で……
そして、告白当日、私は相手に言った。
「……良いのか、その選択で……?」
相手は言った、だが、咲倉も言った。
「良いんです……だから、私と付き合って下さい!」
あまりの熱意に相手も折れた様で。
「……分かったよ、付き合おう……」
私は……告白に成功したのだった……そして、8年後。
「ママー? 此処がママの街?」
「そうよ、お父さんと出会った街、秋桜市……」
「おいおい……その言い方は照れるなぁ……」
二人は笑いながら、子の手を繋いで、自宅へ帰る……帰る場所はあのアパート……
あのアパートは私の原点だから……
今日も私達は生きていく、ずっと、ずっと……
おまけ
石神淳一(いしがみじゅんいち)
鵜野広大(うのこうだい)
江ノ島裕香(えのしまゆうか)
因みに先生以外、全員あ行の名前だったりする。
最後が駆け足になりました……すみません。
因みに咲倉の結婚相手を探すのもありですよ?