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Re: 気まま自由な短編小説 『イベント期間中!』 ( No.123 )
日時: 2016/04/08 16:56
名前: こん (ID: q6B8cvef)

お題:出会ってすぐに一目惚れ (あかり さん)

第21話「出会ってすぐに一目惚れ」

入学式を終え、高校初授業も終え、初友達もできた。

高校に入って一週間。

あらかた高校生活に慣れてきた。



今日は新入生歓迎会。

これから体育館に移動する。



「部活紹介があるんだよね。」

友達の沙紀と移動しながらしゃべる。

「うん、たぶん。沙紀は何に入るつもりなの?」
「うーんとね、バドミントンかな。中学ん時もバド部だったし。」
「ふうん。私もバド部とテニ部で迷ってる。」





体育館の中は椅子が並べられ、一年生が一番前に座るようになっていた。

沙紀と並んで座り、始まるまでずっと部活の話をしていた。





「レディースアーンドジェントルメーン!!!」

そんな陽気な声とともに照明が落ちる。

音楽が流れ、会場が盛り上がる。

「イッツショーターイム!!!」

舞台の幕が上がり、司会進行の人たちが登場した。







「ごめん、ちょっと通るね。」

途中でトイレに行きたくなった。

なんとか外に出てトイレに行き、また戻る。

テニス部もバドミントン部もまだ観ていなかった。

トイレに行っている間に終わってしまうのは困る。



急ぎ足で会場のドアを開けた途端、会場がいきなり盛り上がった。

「どうもー!軽音部でーす!!!」

舞台の上のボーカルが皆を盛り上げていた。

先輩たちはみな椅子から立ち上がり、前の方に押し寄せていく。

「わ、わわっ。」

先輩たちの波に押され、ついていけない私はつまずいて転んでしまった。



「…ああ。」

気がつけば、一年生の席を先輩たちが取り囲んでいた。

もう席には戻れないだろう。



間が悪かったな…。



自分の運のなさにあきれた。

そして立ち上がろうとする。

その時。

「大丈夫?」

優しい男性の声がした。

「あ、すみません。」

その人は私の手を引っ張って立ち上がらせてくれた。

顔は見えないが、背は高い。

「新入生?」
「は、はい。」

周りの音にかき消されないように返事をする。

「そっか。新入生の歓迎会なのに災難だったね。」

会場があまりにも盛り上がっていたため、それを言ったきりその人は黙ってしまった。

私はその人の横で舞台を観る。



制服を着ているから先生ではない。

口ぶりからすると先輩だろう。



隣をちらりと見る。



どんな人なのだろう。



会場の暗さがじれったい。

舞台が進行すればするほど隣にいる先輩のかとばかり考える。





テニス部の紹介が始まった。

「こんにちは!テニス部です。」

舞台の上の人たちがそう言った。

すると。

「俺、テニ部なんだ。」

隣からそう、声がした。





トクン_。





私の心臓が大きく大きく脈打った。

これはきっと合図なのだ。





「あ、あの、私テニス部に入ります!」

気が付いた時にはそう叫んでいた。







まだ、何も知らないけど。



顔だってまだ見てないけど。





私は恋に落ちていた。


<<作者コメント>>
ずいぶんと更新が遅くなってしまったあげく、なんかいまいちな感じになってしまって申し訳ありませんでした。