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Re: 気まま自由な短編小説 『イベント期間中!』 ( No.124 )
日時: 2016/04/08 23:13
名前: 彩都 (ID: jtELVqQb)

『黒縁ダテメガネくんの秘密』

 ある晴れた日の中、黒の学ラン姿の人間とセーラー服姿の少女が校舎裏に来ていた──学ランの人間は鼻に絆創膏を貼り付けていた、少女はとても可愛い、クラスの有名な女子だった。
「あのっ! 好きです!! 付き合って下さい伊呂波君!」
 少女は学ラン姿の人間──伊呂波に恋文を渡す、伊呂波は仕方無く、頭を掻く。
「分かったよ、答えはまた今度──そうだな、来週の月曜日に出すよ」
 伊呂波がそう言うと少女は喜んだ。
「やった! 有難う伊呂波君!」
 そう言いながら、少女は走って消える──そして、伊呂波は少し溜息を吐いて隣の壁に話しかける。
「おい、居るんだろ? 仁保(にほ)?」
 そう言うと、窓を開けて仁保が言った。
「うん、居たけど? 面白いよなぁ──お前の正体に気付かない人間が少ないのは──」
「もしも私の招待をバラしたら、この学校を退学しないといけない──分かっているのか?」
「分かってるよ、衣芦葉ちゃん?」
「ちゃん付けするなぁ!」
 伊呂波は顔を赤らめながら、仁保を殴る。

 唄 伊呂波(うた いろは)、ボサボサ髪の人間、顔には、傷があり、鼻の絆創膏がトレードマーク、何時も学ラン姿である、好きな物は甘い物、嫌いな物は軟派な男──まるで、昔の格闘漫画に出てきそうな人間だった。
 そんな人間にも、弱点がある──それは──

「──胸がでかくなってるなぁ、衣芦葉──」
「うぅ……もう、サラシだけでは隠し切れないかなぁ……?」
「まぁ、成長期だしなぁ、もう、バラしちゃえば?」
「それは無理だ! お前も知っているだろ、父上の話を──」
 それを聞くと、仁保はその時の話を思い出す。

「衣芦葉、お前はうちの一族の命により、高校三年間を『男』として過ごせ!」
「父上、それは、難しいです!」
「そうだよ、おじさん、三年間は地味に長いんだぜ? 少しは考え直し──」
「仁保君は黙ってくれ、これは家族の問題だ」
「──分かりました──」
「それでいいんだ、もしも『女』だとバレたら、絶縁だ、これが唄家の宿命──」

 あぁ、懐かしいなぁ、そんな事があった──でも、もうすぐ一年は終わる、残り二年、この調子で頑張らないとな──そう思いながら仁保は衣芦葉の胸のサラシを巻きなおす。
 ここ迄で分かった人も居るが、そう、衣芦葉は女だ、唄家の跡取りとして、高校三年間を『男』として過ごさなければならない、勿論、顔の傷も少し偽物だ。
 では何で、俺が男なのに、衣芦葉の──女子の胸を見ているかと言うと、俺は衣芦葉の番人みたいな者だ、俺はただの幼馴染みなんだけど──勿論、興奮しない訳は無い、だがそれでも我慢しなければならない。
 今、衣芦葉の胸のサイズはB……本当に隠しきれるかが心配だが、思いっ切り締めてやれば大丈夫だろう、成長期とは中々怖いものだ。
 そう思いながら、巻き終わる、そして衣芦葉は立ち上がる、今は夕方の六時、まぁ、『サラシ巻いて遅れた』って言えばいいか、そう思いながら、俺達は帰る事にした。

「もしも私の正体がバレたら、どうする?」
「それは知らない、俺はお前を守るだけだから、最悪俺の家に居候しろ」
「その手もいいね、本当に仁保は頭が良いね」
 ──お前よりかは頭悪いけどな──そう思いながら、話を聞き続ける。
「でも、仁保は色々隠してくれたね、今も今迄も……」

 仁保は私が小さい頃、虐められていたけど、幼馴染みだから、何度も助けてくれた──何度も何度も──何度感謝しても仕切れない様な位護ってくれた。
 だから、何れはその感謝を伝えなければならない、高校卒業したら感謝しないとね──衣芦葉はそう思いながら、二人は帰った。
 まぁ、『サラシ』の所為で遅れたって言っても、二人共怒られたが……

 そして、衣芦葉の家──
「んじゃ、俺は寝る」
 仁保は衣芦葉の家で居候していた、理由は隔離してはバラすかもしれないからだ。
 ピンクのパジャマ姿の衣芦葉を見れる事が俺の特権かもしれないな、そう思いながら、『眼福、眼福』と言いながら、ベッドに寝転がった。
 数時間後──
「仁保ー? 起きてる?」
 突然の事で俺は起きる事になった、目の前には、少しパジャマが着崩れた衣芦葉が居た、一体何が起きたんだ?
「実は……土佐犬に追いかけられる夢を見て、怖いの……だから一緒に寝て? 枕も毛布も布団も用意してるから」
 何でこういう時は用意周到なのだろうか? そう思いながら、俺は仕方無く、『いいぞ』という、すると、俺の布団の中に入ってきた、これはヤバくない? 俺、コイツの親父さんに怒られないかな? そう思いながら、寝た──って寝れる訳が無い、怖くて寝れねぇ!

 翌日──
「どうしたんだ? 寝不足か?」
 お前の所為でな! 心の中でそう思いながら、俺は溜息を吐いた。
 この眠気も我慢して、授業受けないとな──そう思いながら、学園新聞という学校が発行している新聞の所に人だかりがあった、何だろう、と思いながら俺は見に行くと、とんでもない事が書いてあった。
 『伊呂波、まさかの女疑惑!? 知り合いの少年が胸にサラシを巻いていた!?』
 『同じクラスのA君の証言 『伊呂波? あぁ、体育の時も仁保と二人で移動してるよな、何でだろうな? 恥ずかしがり屋か?』との証言』
 『同じクラスのBちゃんの証言 『伊呂波様は何時も仁保君と一緒だよね? 幼馴染みは分かるけど、流石に伊呂波様にくっ付き過ぎでは?』』
 ……どういう事だよ、これ──? 何で、衣芦葉が!?
「どうしたの、仁保──」
 衣芦葉も事の重大さに気付いた──すると、先生の声がした、職員室行きの俺と衣芦葉──

「まぁ、御父様から話は聞いておりましたが……」
「あぁーうん、聞いていたんですね……」
 俺は少し驚きながら先生と衣芦葉と話す。
 すると、衣芦葉の父親が、学校に来た、そして、新聞を見る、すると、父親は言った。「すまん、昨日、怒ったりなんかして……」
「そこじゃないでしょ!?」
「確かにな……分かっているのか……? バレたら絶縁だ……」
「はい……分かっております……」
 珍しく衣芦葉がションボリしていた、まぁ、そうだよな。
「私はこれで……」
 下を向きながら、衣芦葉は喋らない、なので、俺が言う事にした。
「おい……絶縁するんだよなぁ? だったら、仁保がこの子を──衣芦葉を育てても、いや、居候してもいいよな? 俺も居候していたからな──」
「──いいが……?」
「有難う御座います……」
 俺は深々と頭を下げる……これで、俺の家に荷物を運ばないとな……

 その後、話は色々と動いて、衣芦葉が女の子って言うのはバレた、だけれど、俺と一緒に住むっていう事はバレてはいなかった。
 さよなら唄家、お久し振り仁保家、懐かしい自宅だった、一応母親にも家族にも話は通している。
 これから一緒だな……衣芦葉……

その日の夜、黄色のパジャマ姿の衣芦葉が来た。
「どうしたんだ、悪夢か?」
「いや……そうじゃなくて……」
 モジモジとしている、何だろうか?
「あっあのねっ! 言わなくちゃいけない事があって……」
「何なんだよ、感謝か? 感謝はしなくても──」
「そうじゃなくて!」
 あまりにも顔を赤らめていて、俺は驚いた。
 そして、衣芦葉は言った。
「実はね……仁保の事が好きなんだ! だから……付き合って欲しい!」
 いきなりの事で俺は驚いた、まさか告白とは……って何で?
「だって……男同士で付き合うなんて、ホモと思われるでしょ? 今迄は──でも、今は女って分かっちゃったから……今迄虐められてきた時も助けてくれたし……何度も何度も感謝しても仕切れないもん! だから──」
 俺は右手で衣芦葉の口を止めた──そして、俺は言った。
「嬉しい……俺も何時告白するか、悩んでたんだよ、俺は一目見た時から、お前を護りたかった、だから俺はお前を護ったんだよ、だから、俺と付き合ってくれ、衣芦葉」
 そう言うと、顔を赤くして、その後ポロポロと大粒の涙が出る。
「うっ嬉しい……! これが好きって言う気持ちが通った瞬間なんだね……!」
 そして抱き締めてくる、すると、何か柔らかいモノが……
「って流石にブラは付けなさい!」
「急におかん!?」
「おかんじゃねぇ!」
 急におかん口調で言ったので、勘違いと言っておいた。
 こうして、俺は衣芦葉と付き合う事になった。
 明日から、バラ色人生が待っていると思うとドキドキした……
 俺の恋愛人生は始まったばかりだ……

おまけ

見りゃ分かるけどいろは歌にしました。
なので、仁保って名前に……ってその前に仁保って名前あるのかよ!? って驚きました。

次の名前はどうなるか……(汗)?

>>狡猾な感じで、恋物語にして欲しいです(^▽^)
すみません! 狡猾な感じ出せませんでしたぁ!(スライディング土下座)

って今回の話はありかなぁ? 多分、ダメとは思うけど……(汗)