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Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.39 )
日時: 2016/02/21 13:43
名前: こん (ID: 13dr2FCK)

お題:海と空が綺麗なお話 (茲都さん)

第9話「海と空」

「海。」

学校帰りに砂浜で座っていると、後ろから聞き慣れた声が私の名前を呼んだ。

「…空。」

振り返ると、幼なじみの空が立っていた。

「先に帰ったって聞いたから、たぶんここだろうなって。」

空は私の隣に腰を下ろす。

「海はいつもここにいるよな。」

空は水平線をじっと見つめてそう言った。

「だって海って見ていて飽きないんだもん。」

私も水平線へ視線を向けた。

青い海と青い空がずっと遠くまで続いている。
私はそれを見るのが大好きだ。

「海ってなんで青いんだろう。」

ふとそう思って口にした。

空は少し考えてから答える。

「…なんか中学の理科で習ったな。光が散乱してどうのって。」

私も少し考えてみたが、あんまり覚えていない。

「そういえば習ったかも。忘れちゃったなあ。」

そう言った後、空の顔を見た。

「そういえば、何か私に用事があった?」

空は水平線を見つめたまま言う。

「今日、海の誕生日だろ。パーティは5時から始めるって、まだ伝えてなかったから。」

私は頷いて腕時計を見る。

「そっか。まだ時間あるね。」



私と空の家は隣同士。

私たちが幼稚園の時から、家族ぐるみでの付き合いである。

そして、私や空が誕生日を迎えると、決まって皆んなでパーティをするのだ。



「もう私、16歳なんだけどなー。」

今年も盛大にやるのか、と笑うと、

「まあ、まだまだ続きそうだよな。」

と、1ヶ月前に誕生日を済ませている空は笑った。




私と空はそれから少し黙って水平線の方を見ていた。







海の音がする。


風の音がする。


時折海岸沿いを歩く人の声や足音が聞こえる。


他の音はない。




静かだ。




大好きな海が目の前に広がっていて、


澄み切った青空が広がっていて、


隣には空が座っている。




汚いものなんて何もない。









「綺麗だな。」

そう、思わず呟いた。

「海があって、空があって、……私はずっとこの風景の中にいたいな。」

空も頷く。

「俺も。」

私は空のいる方を向いた。
空も顔をこちらに向けた。

「海があって、空がある。俺はずっとそのままがいい。」

空は私が言ったのと同じようなことを言った。
笑わずに、じっと私の目を見て。


ザザザ。


少し大きな波が浜に押し寄せ、引いていく。

「…。」
「…。」


少しの沈黙の後、空は目線を外し、立ち上がった。

「…俺、そろそろ行くわ。」

私はまた水平線の方に目線を向けた。

「うん。」

そして空は走って行った。










どうして海は青いのか。





それは中学の理科で習ったけれど、


私たちは覚えていない。







でも、


そんな難しいことじゃない。








空が青いから、




海だって











青いんだ。


《作者コメント》

茲都さんからいただいたお題、「海と空が綺麗なお話」よりお送りいたしました。
今回の話は結構軽い、すっきりとした感じにしてみました。
軽すぎですかね?
とりあえず海と空は相思相愛、ということを言いたかったんですけど…伝わりましたか?


茲都さん!
お題、ありがとうございました!
ちゃんとお題に沿っていますかね?
少し微妙ですかね?
「綺麗な海と空」というのと「海さんと空くんの綺麗な恋心」みたいなのを表現してみたつもりなんですけど…。
後者はちょっと伝わりにくかったですね(ーー;)
またお題いただけると嬉しいです!