コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.5 )
- 日時: 2016/02/16 12:36
- 名前: こん (ID: phd3C.MK)
お題:切ない初恋の思い出 (あかり さん)
第2話「彼と彼女と私と」
花嫁がブーケトスをする。
会場は大盛り上がりだ。
花嫁が投げ上げたブーケは綺麗に弧を描き、
すとん、と
私の腕の中に収まった。
会場は拍手していたが、
私はこんなもの、欲しくはなかった。
「大きくなったら、悠美ちゃんを僕のお嫁さんにする。」
幼稚園の時、口癖のように彼は言っていた。
「うん。悠美、光輝君のお嫁さんになる。」
私はいつもこう言いながら嬉しくて仕方なかった。
「光輝君のお嫁さんになる。」
それは絶対に手に入る夢だと思っていた。
でも、世の中「絶対」なんてないんだ。
小学校三年生くらいまでは順調だった。
でも、四年生になったある日。
私と彼のいたクラスでイジメが起きた。
一部の女子が寄ってたかって1人の女の子をバカにして、持ち物をめちゃくちゃにした。
私は見ていられなくて先生を呼びに行った。
でも、彼は違った。
すぐに飛び出してその女の子を庇ったのだそうだ。
私と先生が教室に来た時には、女の子は彼にしがみついて泣いていた。
そこからだった。
その女の子は彼にまとわりつくようになった。
彼といつも一緒だった私にもまとわりつく。
私は内心嫌だったが、彼に嫌われたくなくて、受け入れた。
その後、高校を卒業するまでいつも3人でいた。
そのうち、彼の心は変化していった。
私といても彼女の話ばかりするようになった。
でも彼に嫌われたくない私は、それを黙って見ていることしかできなかった。
大学も3人一緒に行くはずだった。
でも、私だけ落ちた。
私がいないところで2人は急接近した。
それまでは3人、という形だったのに、
大学に入ってからは恋人同士の2人とその2人の幼なじみ1人、という感じになった。
いたたまれなくて、
私は3人でいようとするのを辞めた。
大学を卒業して、
会社に勤め出して、
やっとちょっと一人前になったとき、
彼女から大事な話がある、と言われた。
私と光輝君、結婚するの。
私は内心青ざめたが、やっぱり表向きはにっこり笑って
おめでとう
と言った。
ブーケを見つめた後、彼女を見た。
彼女は幸せの真っ白いドレスを身にまとい、私の方を見て無邪気に笑った。
私は使い慣れた作り笑いを浮かべた。
私の初恋は、もう手に届きそうにない。
私はブーケをぎゅっと抱きしめた。
《作者コメント》
あかりさんにご応募いただいたお題、「切ない初恋の思い出」に沿って書きました。
どうでしょうか?
感想などありましたらよろしくお願いします。
あかりさん、ありがとうございました!
よかったらまたご応募よろしくお願いします!