コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.56 )
日時: 2016/02/22 22:58
名前: こん (ID: wVVEXLrP)

お題:闇鍋 (リリィ さん)

第11話「闇鍋」

闇鍋。

そんな恐ろしい鍋をあなたはご存知ですか?

作り方は簡単。

参加者はそれぞれ具材を持ち寄り、他の人に見られないようにします。

鍋に汁だけ入れ、部屋を暗くします。

参加者は順に持ってきた具材を入れていきます。

煮立ったら完成。

部屋は暗くしたまま順に取り分け、胃の中に流し込んでいきます。

なあんだ、それだけ。

もっと怖いことするのかと思った。

…いいえ。

これが中々に怖いのです。

ちょっと一例を見てみましょう。







「闇鍋パーティをしよう!」

昨日、リナがそう言い出した。

そして今からそのパーティとやらが始まる。

ちなみに闇鍋を行うメンバーは次の通りである。
・リナ
・ののっち
・れいか
・てっぺー
・しゅー(俺)
まあ、俺のクラス(中2-B)のいつメンである。

会場はリナの家。

俺は今まで闇鍋をした事がなかったので、すごい楽しみにしている。


「それでは!順に入れていきましょう!」

1人2品ずつ、キムチの汁が入った鍋に具材を投入した。

「…はい、じゃあ最後私入れるね。」

リナがそう言って何かを入れた。

すると。

ボチャチャチャボチャチャチャッ。

何かが暴れる音が響いた。

「…お、おい。リナ。てめえ、何入れた。」

恐る恐る聞くと、てっぺーも言う。

「い…生き物は反則…だろ。」

ボチャチャチャ…ボチャン。

そこで音が鳴り止んだ。

「お、死んじゃったね。」

ののかが呟く。

「そうそう、どうせ死ぬんだから反則じゃないよ〜。」

リナが嬉しそうに言う。

「…まあ、確かに、もう生きてないのだから反則じゃないね。」

正統派のれいかまでそんな事を言う。

俺ら男子が必死で止めるものの、取り分け作業が始まった。

普通、自分の食べる分は自分でよそうものだ。

しかし。

「私たちがよそってあげるね〜。やっぱりこういうのは女子がやるものだし〜。」

リナ!
てめえ!
んなとこで女子ぶんな!

「…あ、なんか硬いものが入ってる。…いいや。てっぺーのに入れちゃえ。」

おい、ののか。
声が漏れてる。
てっぺーが震えているぞ。

「…あ、待って。なんか…。しゅーのやつ貸して。」

…おい。
れいか。
てめえ、正統派女子じゃなかったのかよ。

「うしっ。できたっ。はいこれてっぺーの。」
「…。」
「これはしゅーの分ね。はい。」
「…。」

待って、待って。
なんか絶対ルールと違うでしょう!
クソゥ、ちゃんと調べてくるべきだった。

「はーい、じゃあ〜皆さんたべましょーう!」

いただきます。
そう言ってまずは皆んな椀によそった汁を飲んだ。

「んん?これは、、ん?」
「あれ、汁がちょっとチョコレート味に?」
「辛さ控えめだな。」

具材報告1つ目。
チョコレート。
まあ、うん、まあ、いいだろう。

「…なにこれ。ん?え、ああ、ブロッコリーだ。」

具材報告2つ目。
ブロッコリー。
ああ、平和だ。

「おー、レバーだ。…普通の鶏の…だよな…?」

怪訝そうに味をみるてっぺー。

具材報告3つ目。
何かのレバー。
鶏のであることを祈ろう。

「あ、これキャラメル!」

具材報告4つ目。
キャラメル。
まあ、許容範囲だろう。

「…なにこの塊。でけー。…あ、ミカンだ。」

俺はほっとした。

具材報告5つ目。
丸ごとミカン。
大きかったのでちょっとびびった。

まあ、ここまではまあまあだ。
うん、順調。

「…ん、んん?わっ、えっ、ちょっ、えっ、ん?」
「何、この食感…。」

皆んなが騒ぎ出す。

ちなみに、俺のとこにも入ってた。

恐らく、俺が入れた干しブドウだろう。

皆んなその食感を君悪がって、噛まずに飲み込んだらしい。

もったいないことを。

そして1人騒がなかった俺は女子からなんか怒られた。

具材報告6つ目。
干しブドウ。

「ねえ、なんかホットケーキのクズみたいのはいってない?」
「私のにはすごく大きいホットケーキのクズの塊入ってた。」
「ああー、それねー。」

具材報告7つ目。
ホットケーキミックスを水で溶いたやつを流し入れたらしい。
なんじゃそりゃ。

「…?プラスチック?」
「どうした、てっぺー。」
「…あっ。」
「…大丈夫か?」
「チューチューアイスが丸ごと入ってる。」
「…は。」

具材報告8つ目。
チューチューアイス丸ごと。
中に入ってるアイスはもうデロンデロンだろう。

「…ガリッ。…。」
「…ののか、どうした?」
「…なにこれ。」
「??」
「アルミニウムの…塊?」
「はああああ!?」

具材報告9つ目。
アルミホイルを丸めたやつ。
誰だよ、そんなの入れたやつ!!
良い子も悪い子も食材以外は入れないように!!


お、そういえば。
あと報告に上がっていない具材1種類だ…。

「…食べ終わった。うえー。」
「…私も。アルミホイル以外は。」
「私もアルミホイル以外は終わった。」

女子3人は食べ終わったらしい。

…てことは。

あの謎の生き物はやはり俺かてっぺーのに…。

なんてことだ。

「…てっぺー、どのくらい食べ終わった?」
「…あと四分の一くらい…?ってか俺らのお椀、女子のより大きいよな?」
「…俺も、そう思った。…俺もあと四分の一くらいかな…。」

問題の、四分の一。

なんかカリッとした感じのものが2つくらい箸にあたるんだよな…。

「…てっぺーのに、カリッとしたやつ入ってる?」
「…お、おう。なんか3つくらい入ってる。」

やばい。

こめかみに一筋の汗が伝ったのは、熱いものを食べているからだけではないだろう。

「ねーえ、早く食べてよ〜。」
「男子待ちなんだけどー。」

リナとののかがはやし立てる。
絶対、あいつら面白がってる。

ちくしょー。
どうせ俺らに拒否権はない。

毒がないことを祈る。

「…いくぞ、てっぺー。」
「お、おう。」

せーのっ!

「……うえあああああああああああ!!」
「……ひえあああああああああああ!!」

そいつは口に入れた途端、何本もの脚が歯に引っかかる。

飲み込むに飲み込めない。

「…ひっ。バリッ。…バリバリガリガリッ。ザクザク…ごくん。」

なんとか噛み砕き、飲み込んだ。

てっぺーも急いで飲み込んだらしい。

俺もてっぺーもすぐさま水を飲んだ。

「…カハッ。……うえ。」
「……ゲホゲホッゲホッ。」

冷や汗をかいていた。

きっと隣にいるてっぺーもそうだろう。

下の上に残る食感。

味はあんまり覚えてない。

「…なんだったんだよ、ほんと。」
「…リナ、てめえ何入れやがった。」

俺らがやっと声を出すと、ののかとれいかは声を上げて笑った。

リナは言う。

「蜘蛛だよ〜!!」

……。

「……。」
「……。」

く、くも?

蜘蛛って言ったか??

「…ひっ。」
「…ふっ。」

ぎゃあああああああああああああ!!

あはははははははははははははは!!


俺らの闇鍋の締めくくりには、男子の悲鳴と、女子の笑い声が重なって響き渡ったのだった。







どうでしたか?

闇鍋って恐ろしいでしょう?

いくら食べられる蜘蛛と言ったって、日本では中々食べる文化がないんですもの。

…え?

全然怖くない?

あら、そうですか。

それでは是非、

あなたもやってみてごらんなさい。


《作者コメント》

リリィさんからいただいたお題、「闇鍋」より書かせていただきました。
闇鍋に生き物や食べられないものはいれてはいけないようなので、真似はしないでくださいね。


リリィさん!
お題ありがとうございました!!
全然ひねりも何もない小説になってしまって…。
すみませんでした…。
また気が向いたらお題ください。
よろしくお願いします。