コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.74 )
日時: 2016/03/04 22:50
名前: こん (ID: 2PmCSfE.)

お題:お肉とうに (どみの さん)

第15話「お肉とうに」

「…お、おい!」

テレビの前の父親がいきなり叫んだ。

「こ、これ…。」
「どう、なってんだ?」

僕と母さんもテレビの前に来て、そこに映し出されているものに驚いた。

今さっきまでは野球のニュースをやっていたはずだ。

でも、画面に映っているのは…



タコのように頭部から足が生えたような、

でも明らかにタコとは様子の違う、

謎の生物だ。



『チキュウノミナサマコンニチハ。』

耳障りの悪い、機械音のような音声が流れ出す。

『コノデンパハカセイヨリオクラセテイタダイテイマス。』



「…なんて言ってるかわかんない。」
「き、気持ち悪い。他のチャンネル…。」

母さんが他のチャンネルに変えようとする。

しかし。

「変わらない…。」

チャンネル切り替えだけでなく、全てのボタンが効かない。

つまり、電源も切れない。

「これは…一体何なんだ…?」

その間も、音声は続く。



『ワレワレノヨウキュウハ、オニクトウニデアル。』



本当になんなんだ、これ。

さっぱりよくわからない。

「…え、え?兄さんのとこも流れてる?」

父親は叔父さんに連絡をとったが、どうやらそっちでも同じ状況らしい。



『イジョウ。ヨイケッカヲキタイシマス。』



謎の放送は、そこで途切れた。

明るいテンションの野球のニュースが流れ出した。

「…。」

僕らは何が起きたか理解できず、無言でテレビを眺めた。

すると、区切りのいいところで報道に切り替わった。



『全世界の全チャンネルで起きた、不可解な現象についてお伝えいたします。』



報道では、先ほどの聞き取りにくい音声の内容をわかりやすく説明した。

それによると、こういう事だったらしい。



・発信源は火星
・映っていたのは火星人
・火星人は地球のある食べ物を取り寄せたい
・1週間後までに届けて欲しい
・もしそれができないなら、地球を征服する



意味がわからん。

因みに、ある食べ物というのは。



お肉と、うに。



以上2点。

なんだそりゃ。



「…でも、さっきの現象、普通じゃなかったわよね。」
「本当に、火星人からだったのだろうか…。」

両親がつぶやく。

俺も、考え込んだ。





果たして、その後世界中は急いでお肉とうにを大量に用意し、火星に向けてロケットが打ち上げられた。

火星にロケットが着けるような技術はつい最近できたばかりで、まだ一度も打ち上げた事はなく、成功するかはわからない。

我々地球の生物はどうなるのか…。





1週間後。

地球上の人々がテレビを見守る中、また不可解な映像が流れ始めた。



『イッシュウカンガタチマシタ。』



もちろん、音声は聞き取りにくくて、普通の人には内容まではわからなかった。

その映像が終わり、報道に移るのを待つ。

自然と、家族みんな祈り始めた。



『先ほどの内容を説明いたします。………………!』



「…お。」
「…あ。」
「…う。」



ワアアアアアアアアア!!!!!



世界中から歓声が上がった。

なんとロケットは無事火星の元に届いたのだそうだ。



地球の生物の暮らしは守られた。

また平穏無事な生活が送られる。



両親と手を取り合い、僕も喜んだ。











その夜。

僕はふと考えた。





なんだかバカバカしい騒動だったな、と。


《作者コメント》

どみのさんからいただいたお題、「お肉とうに」よりお送りいたしました。
なぜ、火星人?と頭にハテナが浮かんだ人が多いとは思いますが、そこの辺りはスルーして下さい(ーー;)


どみのー!
どみのには、なぜ火星人か、伝わったよね??^_^
また良かったらお題下さいね!