コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.80 )
日時: 2016/03/09 18:06
名前: こん (ID: .lMBQHMC)

お題:正月太り (リリィ さん)

第17話「正月太り」

「それでは。第5回、年末家族会議を始めます。」

真剣な面持ちで母が言う。

妹はもちろん、去年までは乗り気じゃなかった父まで真面目な表情をしている。

さて。

議題はもちろん。

「帰省中、いかにして正月太りを免れるか。についてです。」

だよな。

やっぱり。

俺にとってはだいぶどうでもいいんだけど。

父さんだってこの間の健康診断で引っかかるまではこんな話に興味なかったくせに。

この会議は長い。

本当に長い。

12月30日。

朝8時から始まって、途中昼休みを挟んでから夕方の4時まで続く。

その間、正月太りをいかに回避するのか、ああでもないこうでもない言い合う。

実にくだらない。

しかも1人につき10回は最低何か案を出さなければならないときた。

本当に、本当に、どうでもいい。

大学生の俺は特別ダイエットとかしなくたって体型が変わることなんてないんだし。

母さんと妹で勝手にやればいい。

あ、今年は父さんもか。

「皆んな食べてきたばかりだからあまりお腹が空いていないとおばあちゃんに伝える。」
「そうね。でも、あまり空いていないと言うと少しは食べ物出してくるから、全く空いていないって言いましょう。」
「いや、満腹すぎてつらいって言うのは?」
「あ、その方がいいわね。」

よくねえよ!!

俺は食べ盛りなんだよ!

車で何時間も揺られた後はすげー腹減るんだよ!

ふざけんな!!!

「…いや、俺だけはなんか食いたいんだけど。」
「却下。」
「却下。」
「却下。」

おい、なんで父さんまで却下すんだよ。

去年は同じ意見だったじゃねーかよ。

「夜は疲れたって言って早く寝かせてもらおう。」
「そうだね。夜中まで食べてたら太るもんね。」
「賛成。」

父さん、何ちゃっかり意見通してんだよ。

「ねえ、お兄ちゃん全然発言してないんだけど。」
「今何回?」
「一回。しかも却下したやつ。」

無理だろ。

ほんと。

案を出せば出すほど俺が空腹になるんだぜ?

つーかさ、

正月だぜ?

おい。

美味しいものいっぱい食べれるんだぜ?

いいじゃねーか。

ちょっとくらい太ったって。

どうせ大したビジュアルじゃねえんだし。

まあ、そう言うと会議が長引くから心の中に止めとこう。

「いい加減にしなさい。協調性が足りないわよ。」

なんで俺、怒られてんだろ。





そして。

会議は無事に終了した。





年越しを家でした後、すぐに車で出発した。

元旦の朝、おばあちゃんやおじいちゃんに会い、早速会議で決定したプランを実行した。




1月3日。

帰宅。

結局プランは半分くらいおばあちゃんに崩され、結構美味しいものにありつけた。

帰宅早々、体重計がリビングの中央に置かれる。

皆んな年末に体重計に乗った時と同じ服装でスタンバる。

「はい、じゃまずお父さんから。」

結果は…。

プラス1キロ。

まあ、健闘したんじゃないか?

とりあえずホットしていた。

「はい、お母さんどうぞ。」

結果は…

プラス3キロ。

酒飲んだ後酔った勢いで食ってたもんな。

肩を落としていた。

「じゃ、私、乗るね。」

結果は…

プラス1.5キロ。

相当頑張ってたのに意外に増えている。

「ほら、お兄ちゃんも乗りなさい。」
「…はあ。」

とりあえず、乗った。

結果は…

マイナス1.5キロ。

うん、だろうな。

普段よりあんまり食えなかったし、ストレスかかってたし。

顔を上げる。

はい、出ました。

母さんと妹と、そして今年は父さんも。

皆んなすごい形相で俺を見ていた。

「なんでっ!!ずるいっ!!」
「お兄ちゃん、1番食べてたじゃんっ!」
「お前、なんでそうなるんだ!」

…。

あのさ、だから。

この歳の男子は太りにくいんだよ。

いい加減、分かれよ。

たく。


《作者コメント》

リリィさんからいただいたお題、「正月太り」よりお送りいたしました。


リリィさん!
お題ありがとうございました!
今回のは、どうでしょうか?
また良かったらお題いただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!