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お題：終着駅はまだ遠い （しろの さん）

第19話「終着駅にはまだ遠い」

電車に揺られながら、

私の心はなんだか全く冴えなかった。



ガタンガタン。

ゴトンゴトン。



冬の線路は繋ぎ目に少し溝ができる。

だから、夏よりもちょっとだけ大きな音がリズミカルに鳴り響く。



ぼんやり外を眺める。

まだまだ春にはほど遠い、都会の街並みが広がっていた。





人生、色々なことがある。

誰かに恋をして、
その恋が実ることもある。

実らないことだってある。





ちなみに私は数十分前、大好きだった彼に告白して、

見事に玉砕した。





お前、すげえいい奴だし、可愛いし、嬉しいんだけど…。

今までそういう目で見たことなかった。

これからも、友達でいて欲しい。





なんだそれ。

なんだそれ。





100パーセント否定してくれれば良いのに。

そうしたらスッキリとした気持ちになれるのに。



諦めたくても、

諦めきれないじゃないか。





私の気持ちを拘束するなんて、

ほんと、ひどい奴。





ひどい。

でも、私はやっぱりそいつが好きなんだ。





終点を知らせるアナウンスが流れる。



駅に着いて降りる。





一つ、そこで気がついた。



終点駅だって、

進行方向を変えれば始発駅なんだな。



当たり前だけど、そう思った。





改札口を抜け、自宅に向かう。





私は明日、またこの駅から出発する。



そうして、私はまたひどいあいつに会いに行くんだ。





待ってろよ。



絶対、好きにさせてみせるから。







終着駅はまだ遠い。


《作者コメント》

しろのさんよりいただきましたお題、「終着駅はまだ遠い」よりお送りいたしました。
ちょっと作者にとっては難しいお題で、時間がかかってしまいました(ーー;)


しろのさん！
お題、ありがとうございました。
良ければまたお題いただけると嬉しいです！
これからもよろしくお願いしますm(_ _)m