コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 気まま自由な短編小説 『お題募集中!』 ( No.96 )
日時: 2016/03/15 14:18
名前: こん (ID: /GGwJ7ib)

お題:私はまた、涙空を見上げて_(K(*^▽^*) さん)

第20話「私はまた、涙空を見上げて_」

泣いた後、私はいつも空を見る。



空を見上げるのが好きだから。


それから、


これ以上涙がこぼれ落ちないように。





君に告白して振られたあの日、私は空を見上げた。



茜色を通り越して、わずかに残った光がもうすぐなくなってしまう、
そんな空だった。



でも、雲は少しもなかった。

あまりにも街の灯りが多すぎて、
星は全く見えなかったけれど、

浮かんだ涙がキラキラ輝いた。



見上げながら、

‘悪くない’

とか思ってた。





それから、一年。

私たちは高校二年生になっていた。



「今更、ごめん。」

下を向いた君の口から何が発せられるのだろうか。



明日から夏休み。

他の帰宅部たちはもう浮かれて帰っていっただろう。

運動部はすでにあちこちで色んなトレーニングを始めている。



下駄箱を出てすぐの大きな木の下。

いつもなら人通りが多い。

でも今は、
私たちの会話が聞こえる距離には誰もいない。



「…なんだ。」

ふいに君が顔を上げて何かを言った。

「…へ?」

私は耳を疑った。

耳、というより頭がおかしくなったのかもしれない。

「…今、なんて?」

私はおずおずと聞き返す。

君はちょっと頬を赤らめて、唇を少し噛んだ。

それが君の恥ずかしい時の仕草だと、私は知っていた。


思わず下を向く。

きっと耳まで真っ赤だろう。

恥ずかしい。

聞き間違いかもしれないのに、こんなにドキドキするなんて。



少しの間、君は黙り込んでしまった。

それから思い立ったように、木の植え込みのところにしゃがみ込んだ。

「…?」

なんだろう、と背中を見つめていると。

君は振り返って、手招きした。

「…これ。」

君の指差すところには。

「あ…。」



何かが体を駆け巡り、目の奥が熱くなる。



顔を上に向けた。



葉っぱや枝の間から、スッキリとした青空が見えた。



鮮やかな緑と、透き通る青がだんだん滲み、

色が混ざり出す。



混ざった色がキラキラと輝いた。





木の根元には。


『好き』


土にそう彫ってあった。


《作者コメント》

K(*^▽^*)さんよりいただいたお題、「私はまた、涙空を見上げて_」より書かせていただきました。

自分的には少し納得がいかなくて、何度もちょこちょこ修正したのですが、投稿する今もまだ微妙に納得がいかないです…(ーー;)


コトミちゃん!
お題ありがとう!!
また良かったらお題もらえると嬉しいなあ〜^_^