コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 「 ——さあ、この手をとって。 」 ( No.6 )
- 日時: 2016/02/28 20:08
- 名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 3UdJFDb4)
- 参照: 参照100感謝です(´ω`**)
ほんとに怖い力だよねぇ、と桃李先輩は呑気に笑う。宇多森先輩にも桃李先輩にも、底知れない恐怖を感じた。何も言えずに黙っていると、涼風先輩が私にも自己紹介をするよう視線で促してきた。
「天花寺蒼波……1年です。能力は浮遊」
私の力はその名の通り、物や人を浮かせられる力。あんまりメリットはないけど、ふわふわと浮いているのは楽しい。あと、動くのが面倒くさいとき、遠くのゴミ箱に物を入れられるのは便利である。私が席に座ると、次は隣に座っていた橘くんが席を立った。
「1年、橘志麻! 能力は幻覚!」
どうやら、私たちが全員能力持ちだと分かって警戒心が解けたらしい。さっきまでの大人しそうな表情とは打って変わって、眩しいくらいの笑顔を浮かべて私たちに自己紹介をした。めちゃめちゃ顔面偏差値高いなぁ。そんなことを思っていると、宇多森先輩がゴホンと咳払いをし、机に両手を叩きつけて立ち上がった。
「超能力部、結成だな」
超能力部、とは。首を傾げる私と橘くんを見かねたのか、桃李さんは柔らかなな笑みを浮かべて、「要するに能力を持った人の集まりだよ」ととても分かりやすい説明をしてくれた。単なる集まりじゃないか。どこが部活だ。というか、超能力部なんていう怪しい部活を学校側が認めるなんてありえない。私は、口を開く。
「表向きは?」
「オカルト研究部」
「ですよねー……」
涼風先輩の答えに思わず苦笑する。うん、そうだと思った。そもそも、オカルト研究部を認めてくれたのもすごい。そして、私はそんな名前の怪しげな部に入らなくてはいけないのか。橘くんを見ると、同じようなことを考えていたらしい、すごく口角が引きつっていた。
「てことでよろしくな、もう教室戻っていいぞ」
いやいや宇多森先輩、そんなこと言われても、もう授業の半分ほど過ぎちゃってるんですけど。
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こうして私は、“超能力部”の部員となった。