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Re: ひかれ、ぼくの流れ星 ( No.1 )
日時: 2016/02/24 09:14
名前: いるみ (ID: iPZN8Dy0)


軽い荷物を抱え資料を手に持ち、騒がしい街を歩く。
下界って、こんなに発展していたのか。上界と違って魔力の流れを感じないから、多分発展せざるを得なかったんだろう。

(誰にも俺の姿は見えてない。ぶつかる事もないから羽も仕舞わなくていい。……楽だな)

内心ラッキーだなんて思いつつ、どうせ自分には片方しか翼がない事を思い出しちょっとめげそうになった。
気を紛らすべく、手元の資料をぱらぱらと捲る。

無駄に分厚いそれは、候補者達一人一人についての資料だ。
地域別で別れていて、それなりに見やすくなっている。
当然、全員の願いを叶えなくちゃいけない訳じゃない。そんなんだったら過労死する。
問題は、この中からどんな願いを叶え、どれほど自分の力を出し切れるか、だ。
でも候補者を選別したりはしたくないから、見つけた順に願いを叶えていくつもりだ。

その時。

「うわっ!?」

俺から見て右の背後から、驚いたような声と何かが落ちる音がした。
慌てて振り返り手を差し伸べようとするが、自分は人間に見えていない事を思い出す。
(……ん?じゃあなんでこいつ、俺にぶつかったんだ……?)

「痛た……、ぶつかってすみません。でも、そんなコスプレして街を歩かないで頂けますか」

やっぱり少年は、俺の目を見て言っていた。
コスプレじゃないとかそういうツッコミはすべて捨て置いて、俺は少年の手を取る。
「今、ちょっと話、いいか?」
「はあ?……嫌ですね。俺これから用事がありますし」
「少しでいい。手間は取らせない」
まだ何か言いたげな少年の手を引っ張り、とりあえず来た道を戻った。確か人の少ない公園があった筈だ。
まさかこんなに早く対象者が見つかるなんて思わなった。話についてきていない少年はまだ後ろでぎゃーぎゃー言っていたが、とりあえず無視した。