コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.1 )
日時: 2016/03/04 21:50
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

▼プロローグ


「懐かしい〜!」

引っ越しのため、自分の部屋のクローゼットを整理していたら、古いアルバムが出てきた。

小花柄の、本来ならかわいらしいパステルカラーの表紙が、すっかり色あせてしまっている。
確かこれは、高校生くらいの頃のアルバムだ。卒業アルバムとは別に、家族や友人と撮りためた写真をアルバムにしていた。

懐かしい──。

高校を卒業すると同時に大学進学や一人暮らしなど、忙しない日々がやってきて、日常生活に不必要なものは自室のクローゼットに仕舞った。
クローゼットを片づけるのは、それ以来だ。もちろん、アルバムに触れるのもそれ以来。
表紙や裏表紙を撫でながら、目を細める。

まだ片づけの途中だけど……。

「ちょっとだけ」

当時の思い出に浸りたい。
そう思って、陽の当たる窓辺に移動すると、アルバムを開いた。

「あー、あったなー」

家族に囲まれている自分や、友人と笑い合う自分を見て、昔を思い出す。
思わず噴き出してしまうような出来事もあった。

「──あ」

ある写真を見て、ページをめくる手を止めた。
写真には、笑顔でピースをする自分と、その隣に一人の男の子がうつっている。
写真を眺めるうちに私は、だんだん男の子に見入っていた。

一番、懐かしい思い出。懐かしくて、甘酸っぱい。
あの頃に思いを馳せる──。