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観覧車。短編集】突破300さんきゅ&短編合作しませんか? ( No.44 )
日時: 2016/03/15 19:25
名前: 湯呑ゆざめ (ID: HT/LCIMm)


≫青待つ列車に僕等今。


上を見上げれば、星が金平糖を一面に溢したみたいにキラキラ光って

絵の具をべた塗りしたみたいな真夜中の空によく映えてて、私達は

なんとか最終に間に合うかくらいの時間を駅へ向かった。
時は午前3時。実は私の街には「星夜列車」という言い伝えがある。

恋に迷う乙女を正解に導いてくれるみたいですごく綺麗なお伽噺だと
思うんだけど、最近告白するかで迷っていた私を妹が連れ出した。

駅のホームはがらりとしていて、空虚な模型みたいだった。

白い息を吐き出して夜空を見上げているとしばらくして一定のたんたん
というリズムが聞こえる。
ぷしゅっと電車は止まる。まるで星みたいな電車だ。

妹は一歩下がると、恋に迷ってる人が乗るんだよ、と優しい声音で言う。私は妹に頷き返すと、とんっと降り立った。


乗客はいないようで、女性のひどく綺麗で優しそうな車掌さんがふふ、と
鈴をころがすみたいに笑った。


座席には古びた革の本が一冊置いてある。躊躇して開けると、シンデレラの文字。


「シンデレラは後悔しました、なぜ逃げたのかと。そして今これを見てるあなたはきっと恋に迷っているんでしょうね、シンデレラからこの言葉を贈ります。





『恋に逃げることほど後悔することはありません。』



その言葉は腑に落ちて、すっと心の重荷が降りた気がした。



気づけば、そこは家のベッドで、私は自分と言葉をくれたあの人へ向けて早朝の空気に呟く。



「恋に逃げない。」と



これは少女の夢の物語。
これは少女の恋の物語。


end