コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋愛物語 ( No.1 )
- 日時: 2016/03/11 21:22
- 名前: リュー (ID: m.emTaEX)
ホントにホンキで
「はぁ、はぁ………待って………待ってよ、ねぇ!」
雪が降り積もり、足は動かしにくい。
それでも私は走った。
君に追い付くために。
「なんだ?」
振り返った君を見て、言おうとしていた言葉が出なくなる。
「好き」っていう、短い言葉が。
誤魔化すために私は曖昧に微笑んで
「やっぱなんにもないや」
と言った。
つづく
- Re: 恋愛物語 ( No.2 )
- 日時: 2016/03/12 07:56
- 名前: リュー (ID: UHIG/SsP)
次の日。
まだ雪は溶けていないが、昨日の深さよりも浅くなっていた。
私は、かじかんで赤くなっている手に「はぁー」と、息をかけた。
今日は、手袋を忘れてしまったから、最悪だ。
しかし、よりにもよって、今日みたいな雪の降っている日になんで忘れちゃうかな、私………
私は、手には吹き掛けずに「はぁー」と、息を漏らした。
すると、いきなり頬に冷たいなにかがあたってきて、思わず
「きゃー!」
と言ってしまった。
すると、真後ろから
「わ、悪かったって。そんな、叫ぶなよ………」
という声がした。
私は、まだ頬にある冷たい物体を握って後ろを振り向く。
するとそこいたのは、昨日私が、告白しようとした相手だった。
そいつは幼馴染みで隣人。
だから小さい頃からいつも一緒だ。
そして、気づけばその幼馴染みを好きになっていた。
だから、昨日告白しようとして失敗に終わっていた。
ちなみに、この事を友人の一八代一樹に相談した私は、一樹がアドバイスとして
「ホンキで行きな!」
といってくれたけど、いまいち意味がわからなかった。
一樹は
「大丈夫。あんたならできるって!」
といってくれたけど、まだ不安だ。
「おーい、遅刻するぞ!」
幼馴染みの声に、はっとなる。
私はそのまま慌てて走り出した。
放課後。
今日こそは伝えなければと、下駄箱の場所で待ち伏せしている。
今日あいつは部活。
ちょうどこの時間帯にここに来るはずだ。
そしてようやく
「お、まさか俺のこと、待っててくれたのか?」
と大声で言いながらこっちへ来るあいつの姿が見え始めた。
私も大声で
「あんたなんか待つわけないでしょー!」
と返す。
こっちへ来て、上靴を靴にはきかえた幼馴染みは
「お前も帰るか?」
と聞いてきた。
私はニッコリと笑って
「もちろん!」
と、上靴を脱いで靴にはきかえた。
外に出ると、少し雪が降っていて積もっている雪は浅い、今朝とあまり変わらない光景だった。
今日こそは告白したい私は、あまり勇気がないので一応
「ねぇ、好きな人いる?」
と聞いてみた。
すると即答で
「あぁ、いる」
と言った。
私は唇を噛み締める。
その好きな人が、私だったら良いけどそんな偶然、あり得るわけがない。
私の目には、自然と涙が込み上げてきた。
正直、聞かなきゃよかったと思ってしまう。
私は
「また明日ね」
と言って走っていこうとした。
でも振り返って小さく
「あんたのこと好きだから」
- Re: 恋愛物語 ( No.3 )
- 日時: 2016/03/13 20:15
- 名前: リュー (ID: 3z0HolQZ)
と言っておいた。
なぜかすらすらと言えて、恥ずかしくもなかった。
そして私は走っていった
家に帰ろうとか、そんなんじゃなくて、ただひたすら、あいつから離れたくて。
そしたら、後ろの方から『ズシッ、ズシッ』と、雪を踏みしめる音がした。
私はまさかと思って後ろを向く。
まさか…………そんなわけ、ないよね………
でも、そのまさかだった。
そう、そこにいたのは………
「なんで………なんできちゃうかなぁー………」
幼馴染みだった。
もう、何で来ちゃうかな。
来ないでよ、もう、フラレることくらいわかってんだから。
「なぁ、さっきの、さっきのあれって………『告白』だよな?」
幼馴染みの顔は真っ赤だ。
寒いからなのか、あるいは…………照れているからなのか。それは私にもわからないけれど
「うん、そう。さっきのは告白だよ………な、なんかごめんね!困るよねー!ってか、好きな人いるってんのに、そんなこと言われたら、ほんと、困るよねー!ごめん、ごめんね!ほんと、ほんと…」
そういっている私の頬を涙が伝う。
何で、こんなときに泣いちゃうかな、私……
そんな私の頬を、暖かいてが触れる
「霧………矢………?」
なんで頬を拭いてくれんの?
なに、慰めてくれてんの?
ねぇ、なんで?
- Re: 恋愛物語 ( No.4 )
- 日時: 2016/03/13 20:23
- 名前: リュー (ID: 3z0HolQZ)
そんな私の思いに答えるみたいに、幼馴染み───霧矢はいった。
「バーカ。俺の好きな人って………お前だっつんのに」
小さく、独り言のようだったけど聞いた私は嬉しくて
「ほんと!?ま、まじですか!?」
と言ってしまった
まるで、さっきまで涙を流していた私とは別人みたいに
すると霧矢は照れくさそうに
「マジだよ………」
と言う。
雪がやんだ
でも、まだ溶けそうにない
「霧矢、帰ろっ!」
明るく私が言う。
すると霧矢も涼しげに笑い
「そうだな」
と言った
私の恋心は──ホンキで伝えた思いは、無駄じゃなかった。
伝えて良かった。
だって、なによりも…………
ホントにホンキで、嬉しいから!
「つーか、さっきまで泣いてたくせにな」
「うっ、うっさい!」