コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ボヌールカフェ ( No.1 )
日時: 2016/03/16 18:24
名前: 赤猫。 (ID: mwz5SFMT)

廃墟


 柔らかな日差しと、気持ちよさそうにそれを浴びる花瓶の花。
 その横には母と私と父の写真。
 ケージの中で眠るゴールデン・レトリバー。
 吹き抜けの天井には輝きに満ちたシャンデリア。
 


私はいつものハーブティーを飲んでいる。
そうね、今朝の朝食は……
アボカドとラディッシュ、レタスのミックスサラダ、薩摩芋のポタージュ、
焼きたてのパンがあれば上出来ね。
キッチンには少し大きめの窯があるの。
朝はいつも洋食。父は和食が好きだからあまり良い顔はしないけれど。
でも、私はどちらでも構わないわ。
だって、母の作る料理は本当においしいもの。


あら、早速できたみたい。お手伝いさんが私を呼びに来る音が聞こえるわ。
さあ、早くその扉を開けて。

『お嬢様、朝食の準備ができましたよ。』



「はい、今行くわ。」



 日の光を忘れた花に、割れた花瓶が転がっている。
 家族の写真は焼け焦げた。
 ケージだったものの中は窓ガラスの破片が散らばっている。
 シャンデリアは輝きを失い、時折不快な音を立て揺れている。
 その不快な音は少しずつ不規則になった。




 そして、



「香織!!」



聞いたことのある、悲痛な声が聞こえた。