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Re: 『君の笑顔は変わらなくて。』 ( No.1 )
日時: 2016/08/10 11:51
名前: K(*^▽^*) (ID: KdWdIJEr)

《第一話》

「さっ、寒い」

まだ春にしては冷たい風が頬に当たって、寒く感じる。  
マフラーを少し顎まで下げて空を見上げた。
空は水色の澄んだ空だった。
眠くて眠くて辛いんだけど朝はこれだけは良いんだよね。
「あっ、いけない里穂待ってる」
靴のかかとを地面に叩いてダッシュ。
道々には桜の花弁が沢山落ちていてまるで絨毯の様だった。
「桜、立派に咲いてる」
神社の門の左右に咲いている桜の木は去年より満開だった。
「綺麗だなぁ、、すごいや」
しばらく立ちすくんでいるとぽんっと背中を押された。
「あ、里穂。おはよう」
「おはよっ。桜見てるの?」
振り向くと里穂が笑顔で立っていた。
「でも、初日だから早く行こ」
昨日は入学式だった。
中一になって里穂とは一年ぶりに同じクラスになれた。
不安で不安で、堪らなかったから入学式の時の喜びは嬉しすぎて伝えられそうにない。
「昨日は鞄、重かったから今日は良いね」
「あははっ、そうだね」
もう三月とはいえまだ寒いなぁ。
制服の袖を手まで入れれる様にする。
「うちらって何組だっけ?」
里穂が首を傾げて聞いてきた。
「もー、里穂ったら四組でしょ?」
「あー!そうそう忘れてた」
忘れてたか、里穂らしいや。
「でもさぁクラス誰がいたっけ?知ってる奴」
里穂がうーん、と唸りながら考えてる素振りをする。
「えーと」
昨日は嬉しすぎて誰がいたかはあまり覚えていない。
でも、一人。
「男子は、、って里穂!鞄振り回したら人にっ」
「へ?」
すると里穂の後ろにいた男子に当たりそうになって止まった。
言わんこっちゃないんだから。
「す、すいません」
頭を下げるとメガネの少年はこちらをチラッと見てすぐに本に目を移した。
「別に」
それだけ言うとスタスタと先を歩いていった。
「歩きながら本読むの、危ないんじゃないの」
せっかく謝ったのに里穂がそっぽを向いて言う。
「り、里穂っ!」
先輩だったらどうしようっ、ヤバイよ。
少年の肩がピクッと揺れる。
「あー」
すると本を閉じて里穂の方を向いて笑った。

「小学生かと思った、ごめんごめん」

小学生、、。 
唖然として固まってしまう。
その途端、里穂の顔が怒りに満ちていく。
「はぁ!?」
「もーやめなよ!ごめんなさいっ」
頭を下げるとふとその子の名札が目に入った。
「じゃ俺もう行くんで」

・・・・・

「何なの、あいつ!」
里穂が石を思いきり蹴る。
「お、落ち着きなよ」
さっきの男の子と別れてからずっとこの調子だ。
あの人が一年生だってこと、里穂に言おうかな。
何組かは見えなかったな、気になるなぁ。
「里穂さっきの人、一年「おはよ」
聞き慣れた声に振り返る。
「あ」
「よっ、水原」
里穂が顔を歪める。
「チッ」
「幸樹!おはよう」
「お、おう。何か宮内の奴、機嫌悪くねぇか?」
幸樹が私にボソッと耳打ちする。
「あ、あはは。ごめん」
「二人共、また同じクラスか、すげーな奇跡か?」
「ね、幸樹ともなれて良かったよ」
「そ、そうだな」
「何照れてんのよ。ばぁか」
里穂が幸樹の頭をビシッと叩く。
「何すんだよ、このチビ」
「チビじゃないしー」
また始まった仕方ないなぁ。
「先行くよ〜二人共」
全く仲良いんだか悪いんだか。

あれ?あの子どっかで見たことある気がする。
しっかりしてそうな一つ結びの女の子が目の前を通っていった。
ふと女の子の髪からキラッと何かが落ちて光った。
「?」
拾い上げるとヘアピンだった。
あ、行かないと。
その子に駆け寄り声をかける。
「あ、あのっ」
すると結んでいる髪がクルッと前に回った。
「ん?」
「ヘアピン、落ちててそのっ」
「あー、ありがとう」
その子はヘアピンをつけてニコッと笑った。
あれ?どこかで見たことあるような気がする。
「じゃ、さよならっ」
「うん」
後ろ姿を見送っていると里穂が気づけば隣にいた。
「わっ!里穂いたの?」
「いたよ。ひどいなぁ」 
さっきの子、一年生の校舎に向かったよな。
 
また、会えると良いな、なーんて。