コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Capsule -カプセル- ( No.15 )
- 日時: 2016/08/17 23:05
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
*
--現在(2週間後)--
……結局雅貴と二人で来る予定だった場所まで1人で来てしまった。
そしたら其れを笑うかのように──電車が遅れる。
雅貴と二人で出掛けた時もこういう事が有った。御互いに「仕方ない」と受け入れて互いに笑い合った。
その時間が何とも大切で楽しくて……幸せだと感じて居たのが私だけなのだという現実を目の当たりにした今、私は何も信じられなくなって来た。
「よし決めた」
私は決意を決めて、そう呟きホームから駅へと戻った。
そして別のホームに止まっている電車に乗り込んだ。
ドアが閉まってゆっくりと動き出す──ドアに寄り掛かって溜め息を吐いた。
ドアに凭れかかるのを止めて、歩き出す。
トンッと誰かにぶつかり慌てて顔を上げた……。
──同い年位で、身長が私よりも高い男の人でした……。
「すみません……」
そう言って離れた席へ座ろうとしたら、
「あの……良かったら此れ──」
と其の人はハンカチを差し出した。
何で急にそんな事をするのか、差し出されたハンカチも私のハンカチでは無いし──恐らく其の人の物なのだろう。
首を傾げると、其の人は「涙……」と小さく言った。
──あ、なんかこういうのテレビで観た事有る。
──此処から恋に発展したりするんだよね。
自分は何を考えてるんだろう。
目の辺りに手を当てると確かに目から出ている〝水〟が付いた。
「どうぞ??」ともう一度差し出されるハンカチを受け取った。
「僕は次で降りるので、其れは差し上げます」
そう言うと同時にドアが開いて男の人は降りて行った。
- Re: Capsule -カプセル-【コメント募集中!!】 ( No.16 )
- 日時: 2016/08/14 15:41
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://iPadから@
ドアが閉まり、動き出す電車。
どんどん離れていく、ハンカチを渡してくれた人の背中をただ私は見つめていた。
ホームを抜けてまた、住宅街の景色が見え始めた時も私はドアに寄り掛かって景色を見続けていた。
*
終点になった時、私と一緒に電車を降りていく人は片手の指で足りるくらいの人数にまで減っていた。
「此処初めて来たな…...」
見慣れない駅にたった1人で来た私。
普段ならなかなか出来ない事でだけれど即決で此処まで来て何をしようとしていたのだろうか。
立ち尽くす私の目の前を通り過ぎて、改札を抜ける人。
──人.....。
携帯で、今の時間を確認した。
丁度22:00になったところで、今から家へ帰るとしてもきっと23:00近くかそれ以上になるだろう。
とはいえ駅で過ごすと言っても、此の小さい駅じゃ1晩越すのも困難に近い。
考えたが、考える間も無く私は──、
「帰ろう……」
そう自分に言って、また電車に乗った。
あまり変わらない筈だが、さっきよりも一層電車の窓から流れていく景色の空が暗くなったように感じた…...。
私の気持ちは相変わらず、重くて暗いけれど即決で此処まで来る前よりはだいぶ軽くなったと言えるだろう。
「第一話」〜笑顔のCapsule〜 (終)