コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Capsule -カプセル-【コメント募集中!!】 ( No.23 )
- 日時: 2016/08/09 17:16
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: lKhy8GBa)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
気が付けばいつも頭を下げて、謝って……先輩には勿論同い年の奴や後輩にまで指を指されて笑われるようになって居た。
──なんでいつもこうなっちゃうんだろうか。
──変わりたい……。
強く思う気持ちは有るけれど、実行する力と気持ちが足りない。
気が付けば孤独で、1人で過ごすのが当たり前になって居た。
孤独が定着してから何年も経つ。
就職先も奇跡的に見つかったものの、失敗やミスばかりで周りにも迷惑しか掛けていない。
出世なんて出来なそうだし、結婚なんて夢のまた夢。
障害孤独で死ぬ自分の未来図がはっきりと見えるのが怖い──……。
ふぅ、と息を吐いて冷めたコーヒーを飲む。
冷たいコーヒーに驚いて、体全体に鳥肌が立ち震える。
「まずい」
ポロっと出た言葉が隣に座る人の耳に入ったらしく──、
「は??」
と冷たい視線で睨まれた。
何をやっても上手くいかない、人よりも出来ない。
前まではそんな事無かった筈なのに──。
……今の自分、そんな自分なんて嫌いだ。
*
- Re: Capsule -カプセル-【コメント募集中!!】 ( No.24 )
- 日時: 2016/08/17 23:06
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
電車の中。
席を見つけて、ホッとする──座ると共にドアの閉まる合図音が鳴った。
……すると、急いで来たのか走って女の子が1人乗り込んできた。
入ってきたと同時に、ドアが閉まりその子は安心の溜め息を吐いた。
ドアに寄り掛かっている体勢を整えて、歩き出した──丁度僕の目の前で男の人とぶつかった。少々鈍い音がしたような気がする……走るとまでは行かなくてもお互いに急ぐ気持ちが有ったのだろう。
「すみません……」
女の子の方が謝って、また歩き出そうとしたところに男の人はハンカチを渡した。
──なんだろう……この展開は、と自分の目の前で起こっている事に驚きを隠せなかった。
実際手渡されたハンカチを見つめたまま、女の子も首を傾げる。
「涙……」
多分、女の子と僕にしか聞こえないくらいの声でそう男の人は言った。
──そんな、多分僕の方が早く視線に入っていたのに気づかなかった……
「僕は次で降りるので其れは差し上げます」
とその男の人は女の子にハンカチを渡して行ってしまった。
自分はまるで関係無いのに、思わず釘付けでその様子を見ていた。
*
終点の1個手前、僕が降りる時もその子は降りずに窓の景色を見つめていた。
電車を降りて、自分が乗っていた電車が動き出しても僕は暫く立ちすくんでいた。
──自分でも分かる。なかなか感じない興奮だ……ということ。
「喉乾いた──」
そう呟いて……呟く意味は無かったけれど、僕は気持ちを切り替えて自動販売機にお金を入れた。
ゆっくりと喉を通り抜けて行く──。
何故だろう……直さなきゃ、と焦っていた自分の言動が、「少しずつでもいい」と言われているような感覚になれる。
ちょっとだけの、時間の間に僕は心を強く動かされた。
「第二話」 〜孤独のCapsule〜 (終)