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私と彼は共犯者、あの子と君は——、 (3) ( No.5 )
日時: 2016/05/04 13:25
名前: あさぎの。 ◆TpS8HW42ks (ID: Vn0ufRQg)




 私は洸が好き。
 絢都は、なゆが好き。

 どうしようもない恋情を互いに吐き出して、どうしようもない劣情を胸に抱えて。三年前からずっと、私と絢都の歪な関係は続いている。失恋同盟、と言えば聞こえはいいけれど、実際のところ共犯者。



「——……う、おい、鏡!」
「……私、寝てた?」
「うん。もしかして、徹夜して勉強してた?」


 
 今は昼休み。
 まだまだ重たい瞼をこすりながら徹夜ではない、と答えると、口角を引きつらせたのは洸。私の想い人。

 面倒見がよくて、裏表がなくて、明るくて。顔も整っている彼は、男女問わず人気が高い。まあ、彼の恋人がなゆという美少女なので、女子は手出しできないみたいなんだけど。
 そんな洸は、不衛生らしい私の世話をよく焼いている。それは洸らしい気遣いで、手のかかる幼馴染以上の認識がないことは分かってるけど、嬉しいものは嬉しくて。



「最低限の飯は食えよ」
「うん。てか、そんなに心配なら洸が作ってよ」
「それはめんどい」
「えー、洸の料理美味しいのになあ」



 褒めると弱い洸をおだて、下心満載で彼に近づく。本当に私は屑だ。
 私の予想通り洸は褒められたのが嬉しかったようで、しばらく悩む素振りを見せていたけど、やがて頷き、「週に何回か、な」と白い歯を見せて笑った。