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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 彼と彼女が、似ている理由。 (2) ( No.22 )
- 日時: 2016/07/06 19:57
- 名前: あさぎの。 ◆TpS8HW42ks (ID: MwvvJcXZ)
「……さむっ」
「だから俺はブレザーを着ろと」
秋の夜は寒い。コンビニへのおつかいに駆り出されたのは、私と絢都。
まあちょっと絢都と話がしたかったから、私が頼まれたのに、無理やりついてきてもらったんだけれども。
寒い寒いと腕をさする私に、絢都は自分の学ランを差し出した。
「は?」
「寒いんじゃないの?」
「だってそれじゃ、絢都が寒いでしょ……」
眉をひそめて、絢都を指さす。
でも絢都は、いいのいいの、と押し付けるようにして、私に持たせる。
いやいやいや。私はシャツの上にニットのベスト着てても寒いのに、絢都は学ランを脱げばシャツ一枚だ。
渋々学ランを肩にかけると、彼は満足そうに笑った。
ぽんぽん、と私の頭をあやすように撫でて、シャツの袖をぐぐっと伸ばす。
何だ、やっぱり寒いんじゃん。痩せ我慢は、良くないと思うんだけど。そういうとこ嫌い……なんて、半ばいじけながら、ぼそぼそと呟いた。
「なゆに、やればいいのに」
言ってしまった後に、あ、と思った。
嫌味ったらしいにもほどがある。後悔が、どっと私を襲う。
でも、気まずく感じている私をよそに、絢都は笑っているような悲しいんでいるような、曖昧な表情でこちらを向いた。
「やれたら、いいんだけどね」
————やっぱり、彼と彼女は、同じ思いを抱えている。
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