コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 哀愁物語ー愛を誓ってー ( No.11 )
- 日時: 2016/05/09 19:45
- 名前: 夏目 織 ◆blHsRWSqAs (ID: HdkpWh7J)
- 参照: ちほりん→とらじ、澪羽、*織*→夏目 織、リザ、桜里
*第二話
城内に入ってすぐにある大きな階段に目を向けて、階段に向かい駆け出す。
鮮やかな赤い絨毯が広げられた城内の床、階段。金色の冠の飾りと小さな宝石がついている手すりに手をかけて、思いっきり足を伸ばす。三段抜かしだ。
これでも街では体力をつけたりしていたのだ。三段抜かしなんて朝飯前さ!(朝食はしっかり食べてきたけど)
何段か登り終えたとき、目の前に大きな扉が現れた。……王室への扉だ。
ごくり、と生唾を飲み込むと金色の取っ手に手を掛けた。ひんやりとしていて、上がった体温を少しだけ冷ましてくれた……ような気がする。
「パウロさん!!」
入ってすぐに、置くからルーア姫の声が聞こえた。
「姫様……えっと……ご用件と言うのは……?」
少しずつ近づいて、聞いてみる。
白から黄緑へのグラデーションのふわふわのドレスと黄緑色のストレートロングの髪を揺らしながら、ゆっくり姫様は僕の方に寄ってきた。
「パウロ様に少しお願いがあるのですが……」
そこまで言って姫様は目を伏せた。……なんだろう、言いにくいことなのかな。
「……あの、魔王をーー魔界にいる魔王を、倒してくれませんか……?」
ーーはい?
「無理に、とは言いません。パウロ様がよければお願いしたいのですが……」
一瞬、頭が混乱した。
だけど、姫様の真剣な表情と瞳を見て、それは本物なのだと、僕に頼んでいることなのだと、だんだん理解してきた。
魔界にいる魔王のことは昔から聞いていたし、剣の稽古も、体力付けも、全てはそのためにやってきたもんだし……。
暫く、沈黙が続いた。
ーーーーよし、決めた。
「やり、ます。やらせてください」
その言葉を聞いて、姫様は目を見開いた。
僕がやるとは思わなかったのだろう。
「ーー本当ですか……!?」
「はい。剣の稽古もやって来ましたし……僕に任せてくれませんか?」
「……ありがとうございます!!」
「いえいえ!! 姫様、顔をあげてください……!!」
ペコリ、と頭を下げる姫様に僕は慌てた。
「ーーパウロ様、魔王についての話をしたいので少しこちらへ……」
ーーすると、王座の後ろにあった布が開いた。思いっきり。
大きな部屋のようになっていた。きっとここで大事な話とかをするのだろう。
「こちらの隠し部屋は非公開ですので、内緒にしてくださいね」
微笑む姫様に、僕は「大丈夫です、話す人なんていませんから」と答えた。事実だ。悲しいけど事実なのだ。僕は友達が少ないのだ。
そんなことを思いながら、その隠し部屋に足を進めた。