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Re: スイーツゲッター ( No.1 )
日時: 2016/05/13 17:44
名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)

一章一話

僕の名前は新田透。
今年の春から高校生になった。
だが人見知りで中学生の頃も仲の良い人は一人もいない。もちろん、今も。
地元の高校だから知り合いも多く、高校デビューも簡単には出来ない。
本当気が重い。教室も居心地が悪い。
「はぁ」とため息をついて、なんとなく肘をついた。
する事もなく、授業以外毎日本を読んで過ごしている。
今お気に入りなのは「冒険にいったら銃撃戦にあった」という大人気小説家、あるまるさんが書いた一作。
他にも「お兄さん、バトルしよう」や「橋に行け」という作品がある。作者は大好きなあるまるさん。
アクション物語が大好きになったのもあるまるさんのおかげだ。
「冒険にいったら銃撃戦にあった」をまじまじと読んでいると気になる話題が聞こえた。
「ねぇ、スイーツゲッターって何者なの?」
「分かんないよ。検索してもなんにも出てこないじゃん」
「誰も知らないんだよ。正体不明だしねー」
と、わいわい喋っている。無駄にでかい声で。
でも僕もスイーツゲッターと言う名前は聞いたことがある。
今ここじゃ一番有名で正体不明の人。
誰もがその正体を問い詰めようとしているが、出逢う事さえ奇跡のスイーツゲッターはなかなか姿を現さない。
その時クラスはスイーツゲッターの話題でにぎわっていた。
「もしも姿を見たら隠さない事!みんな正体を知りたいよね?」
「はいはい、知りたい知りたい」
「でしゃばったな」
学級委員が急に調子に乗ったことが気に食わないのが、クラスの目立つ人は一気に冷めてしまった。
それに下を向いて俯く学級委員。きっと落ち込んでいるんだろうな。
それにしても、僕もスイーツゲッターの正体に興味がわいてきた。
もしも正体を見てみんなに言ったら「すげー!」とか言われてみたい。そしたら人気者になって、僕にも友達が出来るかも知れないのだ。
そう考えるとわくわくして、つい笑みがこぼれてしまう。
右を振り向いて、ぼーっと空を眺めた。
「スイーツゲッター、会ってみたいな」
僕はぼそりと呟いた。