コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: スイーツゲッター ( No.4 )
- 日時: 2016/05/24 16:04
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章四話
「で、ここな」
僕は今妹の明に勉強を教えている。
もちろん英語じゃない。数学だ。
今年から中学二年生の明は、全教科勉強に追いついていない。
僕は唯一数学が得意だけど、明はどれも苦手だ。おかげで毎回居残り。
だから今、数学を教えているのだ。
なのに、明は全然理解しようとしない。飽きたのか、ペン回しをしている。
「明、真面目に聞いてるか?」
一応聞いてみる。
明は「ええっ!?」という表情をしてペン回しをやめて言った。
「ほりゃ!真面目じゃん!」
「どこがだよ」
思わずツッコんでしまった。
明は「テヘッ☆」と言って舌を出した。この仕草も見飽きた。それて心を動かそうと思っているならまだ甘い。もう見飽きすぎて全く動かないのだ。
僕が動いていないのを感じ取り、許してくれないと思った明は本音を言った。
「だいたい、成績なんて悪くてもいいじゃん!努力してんだし!」
そして明は「むーっ」と言いながら頬を膨らまして、じっとこちらを見てきた。
あ、この仕草は珍しい。ちょっとどきっとした。
ちょっとだけ心を動かせた明は、無意識だったようだ。いつもの意識して可愛く見せようとしているのより、断然いい。
って、実の妹だ。変な意識はするな自分。
明は頬を膨らますのをやめてジト目のまま言った。
「もうっ!聞いてるの!?努力してまっせ!ってさ」
右手で指を指して、左手は腰に当てて、前かがみで文句を言ってきた。
もう可愛く見せようとはしていない気がする。本気で勉強が嫌って言っている気がした。
俺は「はぁ…」とため息をついた。
声をかけようとした時、先に明に喋られた。
「ねぇ」
「あぁ、勉強したくないんだろ?けど教えるぞ」
「ふっ」と鼻を鳴らしてちょっと決まっちゃった?とか思っていたのに明は台所を見ていた。
そして急に振り向いてなにか思い出したかのように言った。
「お兄ちゃん、ごっはっん!」
「…」
「聞こえなかった?ごっはん、ごっはん!」
明は「お腹すいたー」と言っていた。だから気づいたのか、と思う。すっかり忘れていた。明の面倒見るのも大変だ。
今は、何時だ?
時計を見ると、8時を超えていた。
一瞬、固まった。時間が止まったかと思った。
やばい、明のペースに付き合い過ぎた。
僕は急いで支度した。