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Re: スイーツゲッター ( No.5 )
日時: 2016/05/27 19:23
名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)

一章五話

「ご飯食べたら、勉強だからな」
俺は頑張って教えたのに明が真面目に聞いてくれなかったのが悔しかった。
だから今日はさっさとご飯作って食べて、またみっちり勉強だ。
僕の宿題もしながら、明の勉強も教える。明は理解が遅めだから一石二鳥だ。
そして、「ピーーー」と、耳に響く音が鳴った。お湯が沸いた知らせだ。
火を消して、お湯を注いだら完成。
明はテレビを見ていた。しかも勉強道具から一番遠い場所にいた。
「きょーはなんだろー?とんかつ?カレー?牛丼?んー、お腹すいたー」
「ごついな。本当に乙女か?」
思わず突っ込んでしまった。中学二年生というピッチピチの乙女はどうやらごついのが好きらしい。
その期待を裏切るように、僕は明の前に立った。
「みんな大好きカップ麺だぞ。しかもちょっと高めの肉うどん」
「えぇぇー、とんかつがいいー!」
「乙女になれ!」
「とんかつ!とんかつ!とんかつ!」
明は尻文字までしてとんかつと言い張った。
…男の理想を壊すな。本当に女か?恥じらいを持て。まぁ、家族なら恥じらいなんてどっかにおいてきたのかもしれないが。
明は起き上がって、また「むー」としてきた。今日で二回目。
割り箸を割った。ようやく食べる気になったようだ。
まぁ肉うどんも肉は入ってるし、普通に美味しいものだ。手軽だし忙しい時にはもってこいの一品だ。
けど明はぶつぶつと文句を言っていた。
「固麺派なのにー、期待してたのにー、もう飽きたー」
でもずるずると食べていった。
文句は言っているくせに、声には出さず、顔で「美味しー!」と言っているかのように目を輝かせていた。
「言ってることが逆だぞ」
「あ!ひらめいた!」
急すぎ。言ったことを無視されたが、ひらめいたというのは勉強のさっきわかっていない所のことかもしれない。正直僕は期待していた。
明は「ふふん」と鼻を鳴らしていった。
「素晴らしいよ!聞いて驚くな!お兄ちゃんと明の一発ギャグができちゃったよー!」
「…は?」
さっき明かりをご飯で期待させたから、今度は僕が期待させられ裏切られたのかもしれない。天罰か。
「どうでもいいこと思いつくなぁ、感心するわ」と言いたかったが、面倒だからやめた。明がどうでもいいこと思いつくのはいつものことだ。
「いくよ!スタート!どうもこんにちはー。透です。明です。二人合わせて、透明です!」
「しょーもな!」
期待しなかったらよかったと思った。しかもそのネタは前に聞いたことがあった。
「いやー、最近暑いですねー」
「おっ?新バージョン?」
予想していなかった新バージョンに少し期待した。
「そうですねー、暑いです。水のんじゃいません?めっちゃ透明な水を買ってまで!透明な水って、共食いじゃないか!(どわっはっは!)ありがとうございましたー」
「共食いの意味わかってないだろ!観客の完成まで表すな!」
「優勝だね!」
「するか!」
あぁ、また勉強を教えられなかった。
明は逃れようとしているのか。
今日も、楽しかった…。
ずっと、こんな日が続くと思っていた。のにな。